日本を抜いてGDP世界4位に…それでもインドが今後ぶつかる大きすぎる壁
2027年にはドイツを抜いて第3位
インド経済の快進撃がとまらない。ニルマラ・シタラマン財務相は3月30日、今年第1四半期の国内総生産(GDP)成長率は8%を超えるとの見方を示した。
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世界第3位の自動車販売台数は今年も過去最多を更新する可能性が高い。3月の製造業購買担当者景気指数(PMI)も16年ぶりの高水準となっている。
国際通貨基金(IMF)の最新の推計によれば、2025年にインドの名目GDPは4兆3398億ドル(約670兆円)となり、4兆3103億ドルの日本を抜いて世界4位となる。GDPはドル換算のため円安の影響で日本のGDPが目減りし、これまでの予測よりも逆転の時期が早まった。インドは2027年にドイツを抜いて、世界3位となる見込みだ。
経済の急拡大を背景に国際的なプレゼンスが高まる中、4月19日から総選挙(下院、定数545)の投票が始まった。
インドの人口は昨年に中国を抜いて世界最大となった。今回の総選挙での有権者数も約9億7000万人と膨大だ。日本の約9倍の国土に100万カ所以上の投票所が設置され、6月4日に一斉開票される。
インドの「南北分断」がさらに進む
事前の世論調査では、与党のインド人民党(BJP)が単独過半数を確保し、ナレンドラ・モディ首相の3期目入りが確実視されている。モディ氏は「2030年までにGDPを倍増させる」と鼻息が荒いが、インド経済は今後も高成長を維持することができるのだろうか。
気になるのは「今回の選挙でもBJPが南部で議席数を減らす」との予想が出ていることだ(4月13日付ZeroHedge)。
インド経済を牽引するスタートアップ企業やIT(情報技術)を研究する大学などが集中する南部では、BJPが政治的な支持を得ていない。裕福な南部の有権者は英語やタミル語などの少数言語を奨励する地方政党を支持し、世俗主義を堅持する立場を取っているからだ。
BJPの主な票田は人口密度が高く貧しい北部だ。
モディ氏は国民の8割を占めるヒンズー教徒向けのアイデンティティ政治をさらに進めるとみられており、インドの「南北分断」がさらに進むことが懸念される。
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