間宮祥太朗主演ドラマが「チープ&陳腐過ぎる」 日曜夜に大の大人が見る内容ではない?

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 伏し目がちで麗しいまつ毛の間宮祥太朗につられて観たものの、「あれ、これって日曜朝の子供向け特撮系じゃん」と落胆したのが日テレ「ACMA:GAME アクマゲーム」だ。

 漫画の世界は想像の翼を思う存分広げていただいても違和感がない。むしろ奇想天外こそ醍醐味。それを実写にすると、どうにもこうにもチープ&陳腐になってしまう、そんな典型例になっている。これは、構築した世界観を漫画やアニメだけで維持したほうが絶対いい作品だ。実写では到底実現不可能なものもあり、予算の都合で安っぽい純国産の別設定になったりと、確実にスケールダウンが生じる。なんでこれをドラマにしようと思ったのかな。

 ええと、内容ですが、悪魔の鍵を99本集めると世界を支配できるそうで、その鍵の奪い合いに巻き込まれる主人公。悪魔を召喚してゲームで対決、勝者は敗者からなんでも欲しいものを奪える。ゲームのジャッジはゲームマスターなる悪魔(CG)が登場。地獄の牛頭みたいなヤツな。こまっしゃくれた負けず嫌いの子供が好きそうな、なぞなぞ心理ゲームで対決って、ある意味で牧歌的だ。「イカゲーム」や「カイジ」とは違う。命や大金を賭けて、醜さや狡猾さなどの人間性と、クズの人生観が改めて問われるような、ヒリヒリしたデスゲームではないらしい。このゲーム、早々に脱落(視聴断念)しちまった。

 日曜夜に大の大人が観るような内容ではないと思ってしまったし、女性の登場人物も異様に少ないし。間宮祥太朗はここ最近、カタカナタイトルの駄作に引きずり込まれがちで、作品に恵まれないとため息をつく。

 4月期は、わりと早めに各局のドラマが始まっているし、朝ドラ&大河も含めて好みの作品がてんこもり。もう少し観たいと思わせるドラマも多く、たった1話で断念を断言できるのが、今のところこれだけだった。

 間宮が演じる主人公・織田照朝は大企業のご子息だったわけだが、父親(吉川晃司)は悪魔の鍵を持っていたがために狙われて、謎の男(小澤征悦)に殺害された。父の秘書(橋本じゅん)は中学生の照朝が命を狙われることを恐れ、インドヘ送り出す。世界を放浪して悪魔の鍵の謎を追い求めていたが、父の仇が日本にいることを知って、帰国。生成AIシステムを開発した同級生たち(古川琴音・田中樹)とも再会。悪魔の鍵を持つ人間の仕業と思われる財産譲渡事件&経営者の謎の自殺事件が頻発し、照朝も真相を追うことに。早速、広島風893の2代目(須賀健太)が悪魔を召喚するゲームをけしかけてくる、ってのが初回。ええと、合ってます?

 もともと、現実からかけ離れすぎているファンタジーやゲームの要素が濃いドラマが好みではないのだが、世の中はこの手のスパイスを楽しめる人が増えているのだろう。若ぶって、とりあえず入ってはみたものの、会話についていけず、料理も口に合わず、私のような年寄りがなじめる店ではなかった、みたいな。観る側に柔軟性を求めるドラマだ。

吉田 潮(よしだ・うしお)
テレビ評論家、ライター、イラストレーター。1972年生まれの千葉県人。編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。2010年より「週刊新潮」にて「TV ふうーん録」の連載を開始(※連載中)。主要なテレビドラマはほぼすべて視聴している。

週刊新潮 2024年4月25日号掲載

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