大城卓三はこのままでは腐ってしまう… 阿部監督の采配に疑問【柴田勲のコラム】

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大城の起用法への疑問

 いま名前を挙げた大城だが、このままでは腐ってしまうと思っている。20日の広島戦で7試合ぶりにスタメンで起用されたものの最近は出番が激減した。

 大城がマスクをかぶると点を取られる、ベンチはこう判断しているのか。確かに12日の広島戦(東京ドーム)で戸郷翔征とバッテリーを組んで、その戸郷が5回を4失点で降板した。

 その翌日から岸田行倫、小林誠司がスタメンマスクをかぶるようになった。ちょっと露骨だな。これでは、「大城のリードが悪い、キャッチングが悪い。だから負けた」。外からこう受け取られても仕方ない。

 断っておくが、戸郷の4失点は大城のリードのせいではない。捕手がいくらいいリードをしても投げるのは投手だ。投手がどれだけキッチリ投げられるかである。

 阿部は言うまでもなく捕手出身だ。投手にこれはと思うリードをしても、そこにボールが来なければ打たれることもある。

 外から内部の事情はハッキリとうかがい知れないが、阿部だって十分承知のはずだ。大城は打力が売りだ。打ってなんぼの選手である。レギュラーだ。黙って使えば打率2割6分から8分、本塁打だって15本から20本はいける。大城、このままでは自信を失う、迷う。自分の責任と思うかもしれない。

 とにかく大城の起用法は分からない。

阪神は調子を上げた

 21日の広島戦は5回裏終了コールドで引き分けとなった。
 
 巨人は4回表に連打と四球で1死満塁とした。

 ここで小林が2球目にセーフティースクイズを試みたが、投前に転がって大瀬良大地が本塁へトスして、三塁走者・坂本はアウトになった。

 あそこでセーフティーはない。やるのなら坂本を走らせてスクイズだろう。普通にスクイズならセーフだった。雨が降り続けていた。1点でも取っておけば勝っていた。

 開幕から不調だった阪神が調子を上げてきた。生き返らせたのは巨人だ。

 甲子園の3連戦は1分2敗、特に痛かったのは18日の3戦目、サヨナラ負けだ。

 この試合、先発した菅野智之が7回まで無失点と好投した。ここまでは良かったのだが、ベンチはなぜか続投させた。

 本人がいきたいとなったのか、それとも阿部監督がまだいけると色気を出したのか。あそこはスパッと代えるべきだった。

 7回で終わっていればナイスピッチングで気分よく次回の登板に臨める。さらには8回西舘勇陽、9回を大勢ですんなり締めることができたかもしれない。

 新エースの戸郷でさえこれまで最長は7回だ。結果として菅野は8回、森下翔太に適時打を浴びて1失点で降板した。負け投手にはならなかったが、本人にも悔いが残る。ナイスピッチングで終わることができるか、それともダメか。次回に向けては全然違う。

 先週は毎日毎日、同じような展開の試合を見せられた。まあ、それでも貯金1で3位にいる。今週からは巨人と歩調を合わせるように落ちてきた中日との3連戦を皮切りにDeNA、ヤクルトと9連戦である。どう乗り切っていくのか、注目したい。(成績などは22日現在)

柴田 勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会理事を務める。

デイリー新潮編集部

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