島崎和歌子はなぜバラエティー番組から絶対にいなくならないのか 「一番になろうとしない」という特異なスタンス

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井森美幸の再ブレイクも影響か 芸人からの信頼の厚さを誇る「受けの技術」

 同じような立ち位置としては、井森美幸さんをおいて語れない。島崎さんと同じく80年代にデビューし、いまだにバラドルとして息の長い活躍を続けている。ヒット曲やヒット作にこれといって思い浮かぶタイトルはないというのも似ているが、「ヒット作はモンダミン」「ホリプロオーディション時の変なダンス」で30年間いじられ続けられていること自体が驚きである。

 それはお笑い芸人からの信頼の厚さにも通じるのではないだろうか。2023年には「アメトーーク」(テレビ朝日)で「井森美幸大好き芸人」が組まれたほどだ。もちろん例のダンスも披露され、スタジオは大盛り上がり。芸歴が下の芸人が相手であろうと、気取ることなく受け答えをする井森さんを見て、大好き度が増した芸人や視聴者は多いことだろう。

 やはり井森さんにも、「一番になろうとしない」という姿勢を感じる。芸人主体のトークバラエティーなのだから、自分はその材料に過ぎないという達観した視線があるようだ。

 バラエティーで切り返しが絶賛される女性タレントは少なくないが、行き過ぎると批判を受ける。「あたし笑いが分かってます、って感じで鼻持ちならない」という、かつてベッキーさんや小島瑠璃子さんが受けた批判である。また、場合によっては奇麗どころとして呼ばれている女子アナや女優にかみ付くことで、「分かってる女」感を出す場合もあるが、島崎さんや井森さんにそうした小細工の気配はない。

 島崎さんも、有吉弘行さんや明石家さんまさん、出川哲郎さんら芸人にいじられることは多々あるが、いつものガハハ笑いでいなしている。美人だけど気取っていない。乱暴に突っ込んでも怒らない。場合によっては自分がボケるし回しもできる。でもトークのラリーには乗るが、最後のアタックは芸人に決めさせるという役割分担を強く意識しているように思うのだ。それゆえ、芸人のトーク番組が増加した平成後期あたりから、島崎さんらの優秀さが再評価されるようになったのではないか。数多くのバラドルが、ブレイクしては消え世代交代していく中で、島崎さんと井森さんの安定感は変わることがなかった。マツコさんも以前、「島崎さんと井森さんに最近のバラエティーは頼りすぎ」と苦言を呈したほどである。

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