「実際に漏らして開発しました」 “うんちを漏らしても気付かれないパンツ”誕生秘話
まもなくGWが到来するが、帰省などでの長時間移動の”トイレ問題”に頭を悩ませている方も多いかもしれない。厚生労働省の「2022(令和4)年国民生活基礎調査」によると、腹痛・胃痛に悩む人は16.2%、下痢に悩む人は16.4%にのぼるという。もし、高速道路で渋滞中に突然の下痢に襲われたら――。そんな心配を解消してくれるパンツの開発に、情熱を捧げた人物がいる。
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【写真】150ccの下痢を吸収し、5大排泄臭もブロックするOMAPAN。見た目は普通のパンツだ ほか
“うんちを漏らしても気付かれないお守りパンツ”を謳う「OMAPAN」(3,980円、税別)は、見た目は普通のボクサーパンツ。だが、150cc(一般的なオムツ1回分)の量の下痢を吸水し、5大排泄臭(アンモニア・酢酸・メチルメルカプタン・硫化水素・インドール)を同時ブロックする機能を持っている。女性でも使える構造だ。
「今年の1月に公式サイトにて販売開始してから、『長距離の車移動も安心してできるようになった』などの嬉しいレビューをいただきました。なかでも『OMAPANを履いたらそもそも腹痛が減った』という声もありました。もし漏らしても他人に気付かれず、恥ずかしくない安心感が、腸を落ち着かせるのかも知れません。まさに”お守りパンツ”です」(洞本氏)
と語るのは、開発者で、株式会社OMAPAN(東京都中央区)代表取締役社長の洞本昌明氏だ。
「私自身20年以上下痢に悩まされていて、ひどいときは1日に20回ピンチに襲われていました」
洞本氏は、23歳のときに潰瘍性大腸炎を発症した。潰瘍性大腸炎とは、大腸の粘膜(最も内側の層)にびらんや潰瘍ができる大腸の炎症性疾患だ。特徴的な症状としては下痢と頻繁な腹痛で、血便を伴うこともある。安倍晋三元総理が患っていることを公表したことでも知られ、難病に指定されている。
「診断された日は泣きました。当時、勤めていた勤務先のトイレで用を足したら便器が血の海だったんです。急いで病院に行き検査を受けると、直腸炎型(肛門に近い直腸のみに炎症が認められる型)の潰瘍性大腸炎であることがわかりました」
潰瘍性大腸炎は、原因が不明で根本的な治癒方法がなく、長期的なスパンで再燃と寛解を繰り返す。患者数は年々増えており、現在は約26万人と推計されているが、下痢という症状の特性からか羞恥心で公表していない人も多いそうだ。
開発にあたり、“漏らして”もらい…
「トイレに行けない」という状況がプレッシャーとなり、腹痛を誘発してしまう。逆に言えば、「もし漏らしても大丈夫」という状況を作れば、腹痛が起こりにくくなる。その発想で生まれたのが、OMAPANだった。
開発には2年を要した。水漏れ実験では、洞本氏自ら試作品を履き、お尻から150ccの水を流し込んで“漏らして”検証した。ウレタンの厚さや縫製の方法、防水加工の範囲などを調整しながら、完成に近付けていった。当時、洞本氏は潰瘍性大腸炎がほぼ寛解していたので、お腹の弱い友人3人に試作品を履いてもらい、実際に漏らしてもらったことも。その結果、全員から「下痢漏れも臭いも完璧にブロックできた」という声が返ってきたという。
OMAPANは、悲壮感を抱かせないポップなパッケージが特徴的だ。
「デザイナーと相談して、明るいパッケージを目指しました。”うんちを漏らす”と聞くと、悲惨なイメージを抱く方も多いかもしれません。でも、京都人の僕からすると、それは笑い話でもあります。『この前、思いっ切り漏らしたんだけど(笑)』みたいな。そのノリをOMAPANに盛り込みました。笑いに昇華したほうが、変にストレスにならないので」
パッケージの裏側には、「太ももに締付け感アリ」「防水加工でムレます」といったネガティブな情報もあえて目立つように記載している。お客様に買ってからガッカリさせないようにとの配慮だという。現在は公式サイトのみで購入可能だが、今後は店頭での販売も準備を進めている。
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