筒香嘉智(32)DeNA復帰で、球団と現場に“温度差” 「商魂」で抱えた不協和音の“火種”とは

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風向きを変えた誤報

 その新しいチームが巨人だったのか。しかし、一部スポーツ紙の「巨人入りが決定的」との報道で風向きが変わる。DeNAファンを中心に、同一リーグのライバル球団、しかもそれが巨人であることに猛烈なハレーションが巻き起こったのだ。

「筒香の野球に対する真摯な姿勢は本物です。しかし、巨人に行ってしまうと、どんなに阿部監督と関係が深かったとしても裏切り者のレッテルを貼られてしまい、それまで培ったものまでもが説得力を失ってしまう。DeNAに帰るしか選択肢がなくなっていきました」(同前)

 DeNAは巨人に水をあけられていた条件面で、最終的には年俸3億円の3年契約(3年目は変動制)のオファーで誠意を示した。特に今季年俸は、シーズン途中からの加入にもかかわらず、DeNAの日本人野手では牧秀悟内野手の2億3000万円、宮崎敏郎内野手の2億円をしのぎ、山崎康晃投手と並んでチーム最高額となる。萩原龍大チーム統括本部長は「日本に戻ってくるときは全力を尽くすというのは(ポスティングシステムでメジャーへ)送り出すときから決めていたので、ぶれることなく邁進しました。これでさらに優勝に近づいたと確信しています」と万感の思いを込めた。

首脳陣は起用法に苦悩か

 球団は本拠地の横浜スタジアムで入団記者会見を開き、ファンを無料招待した。雨中で異例と言える約9600人もの観客を集めた。2軍戦に出場しただけで、球場では早くもフィーバーが起きている。

「渡米前の実績への期待感があるのはもちろん、横浜高校出身で極めて地元色が強い選手です。毎日出場する可能性がある野手ですし、集客に大きく寄与することが期待できます。これだけのインパクトがある選手ですから、球団は(主砲だった)以前のような活躍ができなかったとしても、決して高くない投資と分析済みだったのではないでしょうか」(元パ・リーグ球団社長)

 一方で現場の首脳陣、選手はもろ手を挙げての歓迎ムードばかりではないようだ。

 ちょうど一塁を守っていたタイラー・オースティン内野手が負傷離脱したばかりで、筒香は代役に適任だ。しかし、いずれオースティンが1軍復帰すれば、筒香を外野に回さざるを得ない事態が起こり得る。外野は売り出し中の度会隆輝、佐野恵太らがひしめく。筒香の存在はチームの新陳代謝を阻害しかねない。

「今のDeNA打線は得点力不足で、未知数の新外国人選手を獲得するより、筒香の方が計算できることは確かです。ただ実績も影響力もある元主将だけに、ベンチは結果が出なくても、ある程度使わないといけないとあって起用に頭を悩ますことになるかもしれません」(元NPB球団監督)。

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