男性の5人に1人が配偶者からのDVを経験 「妻に皿を投げつけられ、涙が止まらなかった」2年かけて離婚も“37歳で貯蓄ゼロ”という「弱者男性」の現実

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「妻から皿を投げつけられ、涙が止まらなくなった」

〇山本さん(仮名・インフラ業界勤務)のケース

 とはいえ、実際に女性からDVを受けた男性に話を聞くと「男性専用車両は、弱者男性にとって象徴のようなもの」だという。

 山本さん(仮名)は、インフラ業界に勤める男性だ。会社はホワイト高給。定時退社でも30歳で年収600万円を手にできる。誰もが羨むキャリア強者といっても過言ではない。

 実際、山本さんも自分の仕事に満足し、休みは趣味のキャンプで、焚き火を眺めつつ、手ずから挽いたコーヒーを飲むのが楽しみだった。こんな生活が一変したのは、山本さんが結婚してからである。

 前述のステータスを持っていたため、婚活自体はトントン拍子に進んだ。同じ国立大卒の女性と巡り合い、彼女の倹約家な面に惹かれた。

「僕が趣味にお金を使いがちなので、彼女に家計を任せたら貯蓄もできてありがたいな、と思ったんです」

 ところが、彼女は“度を越した”ケチだった。お小遣いはほとんどもらえず、アイスひとつ買って帰るだけで一晩中叱責された。キャンプ道具は売り払われ「キャンプ場じゃなく、公園へ行けばタダですむじゃない」と一蹴された。

「有料レジ袋をもらった、お風呂を追い焚きした、電気を消し忘れたといったことで、一日中怒られ続けて。最後は、お皿を投げつけられました。ある日、涙が止まらなくなってしまって、妻が外出している隙にスーツケース1個で逃げ出したんです」

 山本さんはそれから2年かけて調停離婚にこぎ着けた。その間、山本さんは専業主婦の彼女へ婚姻費用を振り込まなくてはならなかった。

 婚姻費用とは、夫婦が同じ経済レベルで生活するよう定められた法律のもと、稼ぎが多ほうから少ないほうへ支払われるものだ。DVを妻から受けていたにもかかわらず、山本さんは彼女を養う義務が生じたのである。

 弁護士費用、別居先の資金、そして婚姻費用と、彼がこの2年で費やした費用は数百万円にのぼる。倹約家の妻がつくってくれた貯金も、離婚までの道のりで溶けてしまった。

 離婚時の山本さんは37歳。貯蓄ゼロで婚活を始めるには、不利な年齢になっていた。

 日本では、専業主夫よりも、主婦のほうが圧倒的に多い。となれば、たとえDVの加害者が妻であっても、民法に従うなら妻を養わなくてはならない夫たちがいる。離婚が決まるその瞬間までは、扶養義務が続くのだ。

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