男性の5人に1人が配偶者からのDVを経験 「妻に皿を投げつけられ、涙が止まらなかった」2年かけて離婚も“37歳で貯蓄ゼロ”という「弱者男性」の現実
前編【4人に1人が自認する「弱者男性」の生きづらさ 事件の被害者でも「50代男性」が“かわいそう”と思われない決定的な理由】からのつづき
トイアンナ氏の独自調査によれば、実に日本人男性の約26.2%が自身の「弱者性」を自認しているのだという。さらに、そうした男性の多くは社会において「弱者」と認定してもらえず“生きづらさ”を抱えているようだ。本稿では、その実例をトイ氏の著書『弱者男性1500万人時代』(扶桑社新書)より、一部を抜粋/編集してご紹介する。
(前後編の前編/後編に続く)
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“男性専用車両”の議論は弱者男性の隠れ蓑だった
2023年には、弱者男性界を震撼させるニュースがあった。10月6日に日本で初めて、弱者男性を支援するNPO団体が認定を受けたのだ。
その名も「日本弱者男性センター」と名乗る団体の活動報告を見てみた。
直近では、男性専用車両の運行と、女性モデルしか掲載されていない小売店の求人広告へ男性写真を加えるよう抗議しているようだ。
ん?と、違和感を抱いたのは私だけではないと思う。弱者男性が差別される事例には、私が知るだけでも以下のものがある。
・男性は女性の2倍自殺へ追い込まれている。それにもかかわらず、世間の目はほとんど男性へ向いていない。
・男性は命のリスクがある仕事に就かせられがちである。たとえば、自衛隊員の男性比率は91.3%と偏りがある。
・高校生のDV被害調査では、男性被害者のほうが多いことがわかっているが、いまだにDV被害=女性のイメージが根強くあり、支援の手が届かない。
せっかく弱者男性を支援する団体ができたのだから、腐すようなことはしたくない。だが、一面で訴える課題が男専用車両と求人広告の写真でいいのだろうか、という疑問は拭えなかった。
現在、日本弱者男性センターの公式サイトはアクセスできない状態になっている。また、わずか数か月で理事のメンバーが入れ替わっているようだ。不安定な人事・運営体制はNPO団体“あるある”だが、このような事情から現在も弱者男性を支援する基盤は脆弱なままである。
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