4人に1人が自認する「弱者男性」の生きづらさ 事件の被害者でも「50代男性」が“かわいそう”と思われない決定的な理由

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「かわいそうランキング」の最下位

 男性は強い、あるいは社会的な強者として描かれる人は男性であろう……といった無意識の偏見をアンコンシャス・バイアス(unconscious bias)という。

 これまでの経験などから「この人は○○であろう」「普通なら○○だろう」と、自分なりに無意識のうちに解釈してしまうのだ。この無意識に同情されにくい偏見を、文筆家の御田寺圭氏は「かわいそうランキング」と名付けた。

 かわいそうランキングとは、世間からかわいそうだと思われる対象には優先順位があることを指す。他者から同情や共感を得られやすい人ほど上位となり、そうでない人は下位として扱われる。かわいそうな状況になっているのは決して自分のせいだけではなかったとしても、否応なく序列されてしまうのだ。

 本書では、独自に500名の男女へ「かわいそうランキング」が存在するかどうかを確認するアンケートを取った。設問は以下のとおりである。

・あなたは、ある事件のニュースを目にしました。ニュースの見出しにはこう書かれていました。

「自宅で刺され死亡 住人の隣人が不審な人物が立ち去る姿を目撃」

 この事件の被害者が、どのような人物だった場合、あなたは【よりかわいそうだ】と感じますか。この中から【かわいそうだと感じた順番】に選択してください。

(選択肢)
・10代男性 ・10代女性
・30代男性 ・30代女性
・50代男性 ・50代女性

 すると、10代女性が1番「かわいそう」とした割合が73%と圧倒的だったのに対し、50
代男性を選んだ人は5%に満たず、「かわいそうランキング」の最下位に置かれていることがわかった。

 さらに、「女性・無職・50代」と「男性・無職・50代」とを比較しても、女性の方を「かわいそう」と感じる割合は男性の5倍以上だった。

「若い男の子の無職は甘えに他ならない」

 その理由について、アンケート調査で得られたコメントを抜粋すると、

「若い女性は可哀想」(男性・62歳)
「若い女性の死は、非常に可哀そうだとおもう」(男性・75歳)
「基本的に女性は弱い立場、対して若い男の子の無職は甘えに他ならない」(男性・73歳)
「女が好きで男が嫌いだから」(男性・41歳)
「女性の方が弱いイメージ」(女性・32歳)
「女性は男性よりも力が弱いから」(女性・46歳)
「女性のほうが犠牲者感が強い」(女性・73歳)
 
 このように、個別回答の全体的な傾向としては、「高年齢の男性が最も、無職男性に対して厳しい」ことが明らかになっている。

 また、「どの人が直感的に加害者だと感じるか、ランキングをつけてほしい」という問いに対しては、次のようなスリートップとなった。

①10代・無職・男性 32.2%
②30代・無職・男性 31.6%
③50代・無職・男性 25.4%

 この調査からは、「無職は有職よりもかわいそうではない」「男性は女性よりもかわいそうではない」と思われていること、また、無職・有職の差よりも、男性・女性の差のほうが、かわいそう度に強く影響することがわかった。

 つまり、男性は男性であるだけで「かわいそうとは思われない」のである。

 ***

 後編【男性の5人に1人が配偶者からのDVを経験 「妻に皿を投げつけられ、涙が止まらなかった」2年かけて離婚も“37歳で貯蓄ゼロ”という「弱者男性」の現実】では、弱者男性は「社会からかいわいそうと思ってもらえない」現象の実例について、「妻からDVを受け続けているのに離婚調停まで妻を養わざるを得なかった男性」を例にご紹介する。

『弱者男性1500万人時代』(トイアンナ著、扶桑社新書)

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【著者の紹介】
トイアンナ(といあんな)
ライター・経営者。『就職活動が面白いほどうまくいく 確実内定』(KADOKAWA)、『モテたいわけではないのだが ガツガツしない男子のための恋愛入門』(イースト・プレス)、『ハピネスエンディング株式会社』(小学館)などの著作がある。これまで5,000人以上の悩み相談を聞き、弱者男性に関する記事も寄稿中。X:@10anj1

デイリー新潮編集部

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