岡田阪神、主砲「大山悠輔」の状態はかなり深刻…積極的な戦力補強に動かなかったツケも出た序盤の戦いぶり
「外国人野手」残留への疑問
そして、もう一つ気になるのが、オフに積極的な補強を行わなかったという点だ。投手陣では退団したケラー(現・巨人)に代わって獲得した新外国人のゲラがセットアッパーとして活躍しているほか、現役ドラフトでオリックスから獲得した漆原大晟も中継ぎの一角に加わり、ブルペン陣の厚みは増している。
一方の野手は、支配下で高校生の内野手を2人、育成で大学生の外野手を1人獲得したのみで、それ以外の補強はない。大きな疑問点は、外国人野手の2人を入れ替えることなく、揃って残留させたところだ。打率.240ながら9本塁打、56打点をマークし、外野の守備で貢献度の高かったノイジーの残留は、まだ理解できる。
ただ、もう1人のミエセスは、打率.222、5本塁打、16打点と外国人選手としてはかなり物足りない成績で、守備でも目立ったプレーをしていたわけではない。そんなミエセスが残留になったのは、岡田彰布監督の意向が強かったという。
「“ミエちゃん”という愛称で呼んでおり、その明るいキャラクターでムードメーカーになっていたことは確かです。それだけで残留させたわけではなく、2年目は日本の野球に慣れて成績を残せるという期待が大きかったようですね。キャンプで来日した時は昨年よりも引き締まった体型になっていました。岡田監督以外の首脳陣からも、今年は違うのではという意見も多かったです」(在阪スポーツ紙記者)
リスクヘッジは必要なかったか
いざ蓋を開けてみると、オープン戦では打率.185と結果を残すことができず、3月27日の二軍戦の試合前には左わき腹を痛めて離脱。いまだに実戦復帰を果たすことができていない。
昨年の成績を振り返ってみても、5本塁打中4本は前半戦に放ったものであり、後半戦に成績を上げていたわけではない。岡田監督の独特の感性から、成長の兆しを感じ取ったのかもしれないが、オープン戦とここまで怪我で離脱していることを考えると、残留という決断は微妙だったと言わざるを得ない。
また、ミエセスを残留させたとしても、このような事態を考えて3人目の外国人野手を獲得しておくなどのリスクヘッジがなかった点も気になるところだ。
チームの持ち味である強力な投手陣は機能しており、打線が奮わない中でもなんとか踏みとどまっている。このまま打線の状態が上がってこないとなると、新たな補強や若手の抜擢などが必要になってくるのではないだろうか。リーグ連覇に向けて、今後、岡田監督がどのような決断を下すかに注目したい。