大行列に客から怒号も……「みどりの窓口」続々廃止で続く“大混乱” 電子化が進む“航空券”との決定的な違いとは

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とにかく待たされる「話せる指定席券売機」

 こうした指定席券売機を少し便利にしたのが、オペレーターと会話をしながら切符が買える「話せる指定席券売機」である。実は、東川口駅の隣の南越谷駅にはそれがある。かつて南越谷駅にはみどりの窓口があったが廃止され、その代替品としてJRが導入したものだが、これも評判が芳しくない機械である。

 武蔵野線では窓口が減らされているため、この「話せる券売機」にも沿線から客が殺到している。そのため、休日となれば数人待ちはザラにある。列が捌けてようやく自分の番が回ってきたと思ったら、今度はオペレーターにつながるまで、機械の前で待たなければならないのである。

 とにかく、オペレーターにつながるまでに時間がかかりすぎる。画面には“待ち人数”が表示されているが、休日ともなれば10人待ちはザラにあるし、だいたい機械の前で何分も待つのは拷問に近い。後ろの客の視線も気になる。そして、オペレーターも律儀にマスクなどしているものだから、声が聞き取りにくいこともある。画面を通して、コロナウイルスがうつるとでもいうのだろうか。

 話せる券売機で不思議なのは、なぜ、窓口にあるマルスとまったく同じ仕様にしないのだろうかという点である。例えば、JR東日本の株主優待券を使って新幹線に乗るとする。乗車券の利用開始日と新幹線特急券の利用開始日が同じであれば、問題なく発券可能だ。ところが、初日は普通列車に乗車し、途中下車して宿泊。翌日から新幹線に乗る…という切符は一発で発券できない。一方、みどりの窓口ではそれができるのだ。そのため、こういった少しでも面倒な切符を作る場合、「窓口のある駅に行ってください……」と案内されてしまうのである。

航空券のような電子化は絶対に無理

 航空券はスマホやパソコンで購入するのが一般的になりつつある。筆者も航空券はほぼ100%、スマホかパソコンで買っている。おそらく、飛行機で可能なのだから、鉄道でもできるだろうと勘違いして、鉄道会社の担当者は躍起になって電子化を推し進めているのだと思われる。

 しかし、飛行機と鉄道ではまったく事情が異なる。飛行機は「羽田→大阪(伊丹)」のように単純なルートで運行されているので、電子化が容易なのである。鉄道の場合、新幹線に乗って東京から新大阪に着いてから、その先も普通列車や特急列車を乗り継ぐことがままある。駅の数も空港とは比べ物にならないし、通るルートも無限にある。そのため、電子化が非常に難しいのである。

 おそらく、JRで電子化を行っている担当者は、ほとんど列車に乗ったことがないのだと思う。もしくは、「東京→仙台」のように、新幹線を使う単純な片道切符や往復切符しか買ったことがないのだろう。確かに、そういった切符であれば券売機で代替できているのだ。ひょっとすると、新幹線や特急以外の列車の存在など、意識すらしていないのかもしれない。

 解決策としては、指定席券売機の機能を駅員が使用するマルス並みに特化するべきである。そのうえで窓口を減らすなら、百歩譲って理解できる。そうすれば、鉄道ファンも券売機で買うだろうし、機械の扱いに慣れた若者も移行できる気がする。しかし、何ら対策を講じないまま窓口を減らしていくばかりなので、現場の負担ばかりが増えていくし、利用者の不満も募っていくのである。

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