「1平米1750円!」日本最安の町・北海道滝上町はどんなところ? 町長は「クマは出るけど、雇用の不安はほとんどない」
3月26日に発表された公示地価によると、全国で最も地価が高い市区町村は東京都中央区で、1平米あたり約950万円(商業地)だ。また、上昇率では台湾の半導体企業の進出で沸きかえる熊本県の自治体が全国トップ10に三つも入っている。
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だが、日本全国で見ると、高級住宅地や値上がりしている場所はほんの一部。少子化で毎年80万人近い人口が減っているのだから激安の土地も少なくない。公示地価がいちばん安い市区町村は、北海道の滝上町(たきのうえちょう)。1平米あたりなんと1750円(住宅地)というから東京・中央区の5000分の1だ。
60坪の土地が90万円
地図をめくると、そこは紋別郡という地域にある。旭川市の北東といえば分かりやすいだろうか。JRの駅はなく、最寄りの空港は紋別空港(町の中心部からは車で約40分)。人口は約2300人と少ないが、金融機関は二つあるし、コンビニもスーパーもある。ニセコほどの規模ではないが山にはスキー場があって、当然パウダースノーだ。5月になると町の公園では一面の芝桜が咲き乱れるという。が、どこか閑散としている。
インターネットの不動産広告を見ると、町の中心にある約60坪の土地が90万円で売りに出ていた。物件を扱っている道東ハウジングの担当者が言う。
「いやー、おそらくこの値段では売れんね。滝上町には大きな工場もなければ会社も少ない。勤め先が少ないので、人が集まりにくいんだよ」
滝上町の名誉のために書いておくと、土地が広い北海道は地価の安い市町村が他にもごろごろある。
「雇用の不安はほとんどない」
そこで、同町の清原尚弘町長に聞いてみると、
「え、最下位なんですか? 知らなかった……」
との反応。だが、こうも話すのだ。
「滝上町は畜産や林業がメインの町です。そうした事業は安定していて、雇用の不安はほとんどありません。クマはよく出没するけど犯罪はほとんど起きないから治安もいい。考えてみれば地価が安いというのは生活費などのコストがかからないということ。ここに引っ越してきてビジネスなどを始めるにしてもやりやすい町だと思いますよ」
ニセコや富良野ばかりが北海道ではない。スーパーのセールみたいな地価でも、住めば都というではないか。