読売新聞の「捏造記者」はミスを“過少申告”していた 業界は唖然「実名談話を作り替えるなんて…」「53歳と48歳に再教育はムリ」

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 いま世の新聞記者は、読売新聞で発覚した「捏造記事」の話題で持ちきりだ。記者が出した原稿を受けたデスクが、「実名談話」を勝手に作り替えてしまったというのだ。しかも捏造に関わった記者たちが当初ミスをごまかそうとしたため、読売は2度もおわびを出す赤っ恥をかいたのである。

「イメージしていたものと違った」という理由で

 問題となっているのは4月6日夕刊に掲載された、小林製薬の紅麹サプリ問題で取引先企業に出ている影響をまとめた記事。読売は17日、同記事で原稿のとりまとめを担当した大阪本社社会部デスクのA記者(48)が、取引先社長が話したコメントを捏造したとおわびを出した。

「記事を取材・執筆したのは岡山県内の支局で支局長をしているB記者(53)。原稿を受けたA記者は、B記者が書いてきた記事を『イメージしていたものと違った』という理由で、勝手に書き換えた。B記者は戻ってきたゲラを見て、取材先が言っていないことが書いてあることに気づいたが、修正や削除を求めなかった。再取材しなかった理由を『社会部が求めるトーンに合わせたいと思った』と語っています」(読売記者)

 いったいどんな捏造だったのか。記事に載っていた取引先社長のコメントは下記の3カ所だ。

1、「突然、『危険性がある』と言われて驚いた。主力商品を失い、経営へのダメージは小さくない」
2、「売り上げの3分の1を失った。補償について小林製薬から明確な連絡はなく、早く説明してほしい」
3、「早く説明がほしい」と訴える社長(写真キャプション)

 読売はこのうち下記の3箇所で捏造があったとしている。

1、「突然、『危険性がある』と言われて驚いた」
2、「補償について小林製薬から明確な連絡はなく、早く説明してほしい」
3、「『早く説明がほしい』と訴える社長」とする写真説明

同業他社から噴出する「あり得ない」の声

 捏造部分を削除すると、「主力商品を失い、経営へのダメージは小さくない」「売り上げの3分の1を失った」しか残らない。見出しは〈『紅麹』流通先 販売中止で痛手〉。取引先が小林製薬の説明がない姿勢に憤っているというトーンが付け加えられたのである。

 同業他社からは呆れる声が噴出している。

「思い違いや取材不足から事実誤認の記事を出してしまい、おわび・訂正を出すことは誰しも経験のあることです。ただ、写真入りの実名談話を捏造するなんて考えられない。当たり前のことですが、相手が気づきますから」(大手紙支局勤務30代記者)

「若手ならともかく、本来、記事に問題ないか厳しくチェックする立場にある48歳のデスクが捏造したことに衝撃を受けた。それを受け流したのが53歳のベテランというのもさらにびっくり」(大手紙50代デスク)

「デスクから“もっと強く打ち出したい”と相談を受けることはたまにあるが、もう一度取材先に電話やメールを入れて『こう変えたい』と頼み込むのが普通。それでダメだったらデスクに諦めてもらうしかない」(大手紙社会部30代記者)

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