嵐 「株式会社嵐」設立は独立への布石 四宮新社長に期待されている重要な役割とは

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権利争奪戦で頼りになる四宮氏

 注目すべきは四宮氏がエンタテインメントに関する法律(著作権法、商標法、意匠法など)のエキスパートである点。法廷での実績がある一方、関連著作も多数あり、日本の第一人者と言って良い。

「嵐が四宮氏を頼ったのは独立シフト」(大手芸能事務所幹部)

 たとえば、嵐の楽曲の音楽原盤権は現在、スタート社とスマイルアップ(旧ジャニーズ事務所)が共同所有するブライト・ノート・ミュージック(旧ジャニーズ出版)が所有する。

 原盤権とは著作隣接権の1つで、CDなどを制作した者が持ち、この音源がCMやゲームソフト、ネット上などで使用されたり、複製されたりした際に原盤使用料(原盤印税)が請求できる権利である。

 ブライト・ノート・ミュージックの代表はスマイルアップ取締役の藤島ジュリー景子氏(57)。嵐の独立時には原盤権の行方をめぐって、譲渡条件などで意見の相違も予想される。その時、嵐にとって四宮氏の存在は心強いに違いない。

ファンクラブが譲渡されなかった理由

 ファンクラブ「ファミリークラブ」の問題もある。重複加入者も含め、同会には現在約1400万人の会員がいる。年間会費は4000円だから、売り上げは同約560億円。担当社員は10人に満たず、多くの業務は印刷会社の子会社に外注しているから、利益は途方もない。夏をメドに分社化されるものの、現時点ではスマイルアップが運営している。

 会員数のトップは嵐。約300万人の会員がいるから、売り上げは年間120億円。この譲渡問題も簡単には片が付きそうにない。スマイルアップから嵐の会社への譲渡がたとえすんなりと決まろうが、数億円は下らない法人税、消費税の問題が浮上する。双方がどう負担するか。

 ファンクラブがスタート社に譲渡されなかった理由も、税金の問題にほかならない。ブライト・ノート・ミュージック社についても一緒。設立直後のスタート社が巨額の税を負担するのは難しい。

 嵐の会社とて資本金500万円なのだから、億単位の税負担は容易なことではない。譲渡を円滑に進めるためには、四宮氏のようなエンタテインメント界に精通した弁護士の存在が欠かせない。

 四宮氏は第86回キネマ旬報ベストテンで1位になった映画「かぞくのくに」(2012年)や、第43回日本アカデミー賞の最優秀作品賞を受賞した映画「新聞記者」(2019年)を製作・配給した映画会社・スターサンズの代表でもある。四宮氏自身、プロデューサーも務める。

「嵐はこれ以上ない人に社長を引き受けてもらえた」(大手芸能事務所幹部)

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