絶好調「立浪竜」の陰で二軍暮らし「根尾昂」の苦境…立浪監督の“方針”に賛否両論も
先発よりも救援向き?
「春のキャンプでは、今より調子が良かったと思います。キャンプ中の実戦では、7イニングを投げ、失点1でした。オープン戦では3試合の登板チャンスをもらいましたが、失点8。立浪監督は、根尾を先発起用したいという考えがあり、先発6人枠を争わせるスタンスでした。オープン戦で結果を残せなかったので開幕一軍メンバーには残れませんでしたが、監督が根尾の先発起用に固執していることについては賛否両論があります」(前出・関係者)
根尾は投手に専念して3年目。最初の年の22年シーズンは危うい局面もあったものの、一軍戦25試合に登板して防御率3.41の成績を残している。翌年からファーム暮らしが始まったが、それは立浪監督の「先発案」が言い渡されたタイミングでもあり、同時に制球難も指摘されるようになった。
「実はチーム内では、根尾は救援のほうが合っているんじゃないか、という声もあるんです。開幕戦で勝ちゲームでのセットアッパーとして予定されていた松山晋也(23)が打ち込まれ、救援投手不足が懸念されました。立浪監督は勝野昌慶(26)と入れ替え、救援陣を立て直しましたが、この時、根尾の名前が一軍首脳陣のなかで挙がっていました」(前出・同)
だが、立浪監督は根尾の救援再転向案に興味を示さなかったという。全力投球で力投型の根尾に「6、7割の力でキレのあるボールを投げ、変化球でかわすテクニックも習得させる」という監督の方針は、今からでは遅いのかもしれない。
「とにかく練習はマジメ。居残り練習でネット投球をほぼ毎日続けていますし、その努力は二軍首脳陣も認めています」(前出・地元メディア関係者)
中日の開幕ローテーションは、柳裕也(29)、涌井秀章(37)、メヒア(27)、小笠原慎之介(26)、大野雄大(35)、梅津晃大(27)の6人。リーグトップのチーム防御率1.84と強固だが、「再編は必須」との見方もされている。
大野は4月3日の巨人戦で復帰し、勝利投手になったが、翌日には一軍登録を抹消されている。その後、大野の次回登板日だった10日の先発マウンドには松葉貴大(33)があがっており、その松葉も翌11日には登録を抹消されてしまった。昨年、左肘にメスを入れた大野はまだ万全ではなく、勝利投手になった松葉も6回途中で降板している。つまり、6人目の枠は空いており、根尾の今後の奮闘次第ではそれを争うことも十分可能なのだ。
「柳、涌井は好調ですが、同時にいつ不調に陥ってもおかしくない。高橋宏斗(21)は出遅れてしまい、ファームで調整中です。味方野手のエラーで投球リズムを崩すなど不運なところもありましたが、二軍首脳陣は高橋には高いレベルを求めており、一軍昇格するときはローテーションを任せるつもりです」(前出・同)
先発陣の好調さが「3点取れば勝てる」という立浪監督の強気発言につながったが、セパ交流戦の変則日程や夏場の連戦を迎えれば、ブルペン陣を総動員させる試合も出てくるだろう。
その根尾が、16日に行われた、くふうハヤテとの3回戦で先発した。3回に1失点したものの6回3分の1を投げ、被安打3、与四球0、奪三振6の好投を見せたが、打者の打球を腹部に受け、アウトにした後、負傷降板した。ファームで根尾が巻き返し、一軍昇格を勝ち取るのは並大抵なことではない。だが、努力が報われるより前に、心が折れてしまわないか心配だ。