〈さらば川勝知事〉最後に固執した「ルート変更案」の悪質性 非現実的で倫理的にも問題が

国内 政治

  • ブックマーク

次の知事に求められること

 NIMBYという言葉がある。Not In My Backyardの頭文字を取った言葉で、「ウチの裏庭ならイヤ」という意味になる。要するに施設の必要性は認めても、「ウチの近所はイヤ」という地域エゴイズムを表す。

「川勝さんは『リニア工事は環境に大きな悪影響を与える可能性がある』と主張し、それを根拠に静岡県内での工事実施を認めないという姿勢だったはずです。にもかかわらず、科学的な議論も無視して川勝さんはルート変更を提案しました。これに私は強く引っかかりました。そもそも悪影響などないわけですが、仮に問題のある工事だとしても、静岡県内で実施されなければ構わないと川勝さんが考えているように見えたからです。もしそうなら、これこそNIMBYの考えそのものです」(前出の関係者)

 自分に利のない工事は長野県と松本市に押し付けてしまえばいい──これが川勝氏の主張だと指摘されても仕方ない状況だったのだ。

「知事を辞めた川勝さんは、このようなエゴイズムを隠し持っていたと最後に垣間見えた気がします。倫理的には非常に問題でしょう。次の知事は、このような誤った地域エゴイズムの持ち主ではなく、本当に静岡県と日本の未来を考えられる人が就任すべきだと思います」(同・記者)

註1:知事「止める覚悟」 リニアトンネル工事(朝日新聞・静岡県版:2014年8月26日)

註2:経済インサイド 川勝知事がリニア開業10年以上遅れる案、非公式打診 品川-名古屋間の先行開業断念、静岡県内通らないルートも(産経新聞・電子版:2023年6月2日)

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 3 4 次へ

[4/4ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。