「去年は“海外治験”で530万円稼いだ」“現役チケラー”が打ち明ける「治験の醍醐味」と「健康被害よりも重大なリスク」とは?
健康診断も兼ねている
――副作用や不自由はなかったのでしょうか。
「生活に関して言えば、入院中は男女相部屋ですし、食事が出ると言ってもすごく美味しいわけではないので、向き不向きはあると思います。ただ、私自身がもともとバックパッカーで安宿ばかり泊まってきたので、それに比べれば全然快適で、相部屋も特に気になりませんでした。副作用も幸い、私に関してはこれまで1度もありませんね。ただ、配膳担当がインド系イギリス人だったのか、期間内の食事の味付けが毎食カレー味だったことがあって、その時はキツかったです…」
――治験センターで友達になるケースもあるんでしょうか
「日本人ばかりで一定期間同じ空間にいるので、必然的にそうなりますね。今でもたまにお茶をする間柄の人もいます。ただ、同性の“治験仲間”は少なくなりましたね。みんな結婚とか出産とか、あと妊活を控えると、やっぱり治験を避けるようになるので。私は結婚も出産もしないと決めているので、そういう不安はないですね」
――では、これからも定期的に治験を?
「実は明日からまた別の治験に参加するんですよ(笑)。本業は100%リモートワークなので、タイミングが合えばこれからも副業的に参加したいと思っています。海外って、日本企業のような定期健診がないんですよ。スクリーニング検査でもし体調に異変があった時は教えてもらえるので、ライトな健康診断も兼ねたつもりで。以前に“貧血の数値が出ているから病院で診てもらった方がいい”と教えてもらったこともあります」
リモートワークと組み合わせ、スポットの副業として治験に参加する女性。グレーなイメージが先行しがちな“治験”の印象とは、少し違っていた。次にご紹介するのはさらに“効率”を追い求めた男性のケースだ。
治験でもらった500万円はほとんど使ってしまった
取材に応じてくれたのは、現在は北米に滞在中でノマドワーカーの木野さん(30代男性/仮名)。日本の商社に勤めており、年収は優に1,000万円を越えている。とてもお金に困っているとは思えないが、なぜ海外治験に参加するのだろうか。
「一言で表現するなら“ドケチ”なんです。実はわたし、住居もなるべく治験の宿泊施設を使うようにしていて、決まった家は持っていません。日本に持っていたマンションも売ってしまって、帰国する時はウィークリーマンションを使っています。だって、治験の期間中は自分の家を使わないし、もったいないじゃないですか。治験の間は家賃も光熱費も食費もかかりません」
――そんなに頻繁に治験に参加しているんですか!?
「去年はアメリカで4件、ベルギーで1件の計5件の治験に参加して、トータルで530万円の報酬をもらいました。交通費はこれとは別なので、会社の特別ボーナスで手取り500万円ぐらいもらったイメージですね。もちろん雑所得にあたるので確定申告は必要ですが」
――その500万円はどうしたんですか?
「豪遊してほとんど使っちゃいました(笑)。年末年始に彼女と東南アジアを何か国か回ったんですが、飛行機は2人ともビジネスクラスで、ちょっといいホテルに泊まって、有名なレストランで食事して。それだけで200万ぐらいは使いましたね。あとはまぁ…ギャンブルとかクラブ遊びとか、そんな感じですね」
――“ドケチ”なお金の使い方には思えないのですが…
「周りに説明してもあまり理解されないのですが、本業のお金は無駄遣いしたくないんです。積み立てNISAとかiDeCoの原資にして、ちゃんと老後に備えたい。あぶく銭だからこそ、散財できるんですよ」
少なくとも、生活に窮してやむを得ず治験に手を出すといったイメージとは程遠い印象を受ける。これがイマドキの海外治験のスタイルなのか。
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