石原さとみはまたドラマ選びを間違えた? アラフォー俳優が大学生役で共感性羞恥が爆発する「Destiny」

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「M」だけでなく「離婚しない男」も……テレ朝の勝ち筋となったSNS映えする“炎上”演出

「最愛」の見た目なのに、ふたを開けると「M~愛すべき人がいて~」が出てくるドラマ。少なくとも初回は、石原さんより亀梨さんと田中さんの関係性に注目がいってしまう構成になっていた。

 それでも、というか、おかげで、というべきか、滑り出しは上々だったようだ。第1話の平均世帯視聴率は7.9%と前クールの「マルス-ゼロの革命-」の初回平均世帯視聴率5.7%超え。Tverでも再生回数ランキングではフジテレビの「366日」に次ぐ2位につけた。放送後Xでは出演者の名前とともにドラマタイトルがトレンド入りした。

 テレビ朝日といえば、1月期ドラマ「離婚しない男」も、篠田麻里子さんの不倫騒動を逆手に取った脚本で反響を呼んでいた。タレントのスキャンダルと地続きの役柄でSNSを沸かせれば勝ち、というセオリーが局内で定着しているのかもしれない。「Destiny」では亀梨さんが見せつけるように服を脱ぐサービスショットもあり、正直なところ「なんだかな」と脱力してしまったのだが。

 サービスといえば、ベタすぎる恋愛演出も気になった。眼鏡をはずすと美人なヒロイン、偶然目の前に広がった星空に感動からのキス、キャンパスを泣きながら突っ切る恋敵。ひと昔前の少女マンガのような展開は、あまりに堂々と出されると恥ずかしい。

 視聴者は好きでしょ、芸能人のうわさとかマンガみたいな恋愛とか――それは否定しないが、振りかざされてはへきえきする。謎解きやストーリーよりも話題性という姿勢が透けて見えると、ちょっとモヤっとするのは私だけではないはずだ。

アラフォーの今もかわいらしい容姿だが……ラブコメよりドライな役柄が似合うという意外な強み

 一方で、石原さんが話題性に全く貢献しないかというとそうでもない。1児の母には見えない美貌に、SNSでは絶賛する
声が集まっている。顔も声も甘口だが、実はラブコメよりもドライな役柄を演じる方がハマるというのも強みではないだろうか。

 彼女を人気女優に押し上げた「失恋ショコラティエ」(フジテレビ系)のあざと女子・紗絵子の小悪魔ぶりは評価が高かった。あれも一種の「職人」技である。目標達成のために冷静に行動し、コミュニケーションの溝を埋めていくというのは、お仕事ドラマのヒロインに近い。

 恋愛において不器用さはかわいげになりうるが、仕事ではそうはいかない。不器用さを開き直られては話にならない。石原さんの演じてきたヒロインは、コミュニケーションで失敗しても、行動できちんとリカバーすることで愛されてきた。虚勢を張りがちで口が先行するヒロインは、ドラマ内では「できる女」という設定でも、視聴者からは「小賢しい」とそっぽを向かれていたように思う。

 第1話では、まだ検事としての仕事ぶりはお披露目されなかった。彼女を取り巻く男性たちとの関係性は、ひと波乱ありそうだ。今後の展開は、ラブとサスペンス、どちらの割合が多いのか。そのバランスに、石原さん、いや「Destiny」の成功は懸かっているのではないだろうか。

冨士海ネコ(ライター)

デイリー新潮編集部

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