要介護リスクを29%低減! 日本が誇る最強の健康法「お風呂」は何がすごい? 最適な温度をプロが指南

ドクター新潮 ライフ

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熱いお湯は肌荒れにつながる

 とはいえ、心臓や肺の機能が落ちている高齢者などにとって、上半身に水圧がかからない半身浴は楽な入浴法ですから、半身浴そのものが悪いというわけではありません。

 ダイエットを気にしている人の中には美容に気を使っている人も多いのではないかと思います。スキンケアの観点から大事なのは、やはり42度以上のお湯に漬からないことです。42度以上の湯船に入っていると、かゆみの原因物質であるヒスタミンが体内で生成されてしまいます。また、肌は熱変性するたんぱく質で作られていますので、熱いお湯に漬かると肌荒れにつながります。

 冷え性のところでも説明しましたが、「42度」はいろいろな意味でひとつの境目です。興奮を促進する交感神経のスイッチが入るのも42度、血液の塊ができやすくなるのも42度、そして肌荒れが進むのも42度……。

 日本では夏の暑い日でも、気温が40度になることはあっても42度に上がることはありません。人間の住む環境にはなかなか存在しない温度のため、お湯も42度以上になると人体に“異変”を生じさせるのではないかと考えられます。

 入浴における「湯加減」は、気持ちの良し悪し以上に健康面で極めて重要なのです。

早坂信哉(はやさかしんや)
東京都市大学人間科学部教授。1968年生まれ。温泉療法専門医。自治医科大学医学部卒業、同大大学院医学研究科修了。浜松医科大学医学部准教授、大東文化大学スポーツ・健康科学部教授などを経て東京都市大学人間科学部教授に。入浴の健康効果を医学的に研究し続けている第一人者。『最高の入浴法』(大和書房)などの著書がある。

週刊新潮 2024年4月11日号掲載

特別読物「『要介護リスク』が29%も低減 最強の健康法『お風呂』がスゴい 家庭風呂篇」より

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