【小池知事・学歴詐称疑惑】私文書偽造で立件されたとしても、政治家としては逃げ切る可能性…サッチーの“コロンビア大卒”とも比較
最高裁の判例も
するとA氏は小島氏に《「声明文は、私が日本語で書いた文案を書き換えたものを英訳、カイロ大学の声明文として学長のサインを付けて発表したものです》と真相を語ってくれたというのだ。
小島氏はA氏の告白を聞き取っただけでなく、A氏から小池氏とのメールなど“証拠”も入手。どのようにしてカイロ大の声明文が偽造されたかを記事で詳細に描写している。ここでは割愛するが重要なポイントとして、声明文の原文が英文だったことなど、根本的な疑問を示した部分だけ、小島氏の記事から引用させていただく。
《そもそもカイロ大学が出した声明文なら、アラビア語で記されているのが普通ではないでしょうか。それに英語・日本語訳が付いているのならわかりますが、英語・日本語だけなのも不思議な話。またカイロ大学学長の文書が、カイロ大学のHPに掲載されず、駐日エジプト大使館のフェイスブックにだけ載るのも、今思えば奇妙なことです》
首長や議員の学歴詐称を巡っては、1992年7月の参議院選挙で当選した男性タレントが選挙活動で明治大学の入学とスイス留学の学歴を公表。これが事実と異なるという疑惑が浮上し、93年8月に名古屋地検が公職選挙法違反(虚偽事項公表罪)で在宅起訴した。94年に最高裁で有罪が確定し、当選無効も決まった。
私文書偽造罪の疑惑
元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は「私も小島さんとは面識があり、大変に真面目な方です。その小島さんの記事なので、非常に興味深く読みました」と言う。
「まず公職選挙法違反ですが、3年で時効を迎えます。そのため2020年7月の都知事選で示された『カイロ大卒』という学歴は、たとえ詐称が証明されたとしても、すでに時効が成立しています。一方、小島さんとA氏は『声明文は自分たちが作成に関与しており、カイロ大学が出したものではない』と主張しています。これが事実であるとすれば、私文書偽造罪の疑いが出てきます」
私文書偽造の時効は5年。都知事選は2020年7月に行われたため、こちらはまだ時効を迎えていない。声明文が偽造だと証明されれば、事件化は可能だ。
「ただし、もし立件されたとしても、小池氏は“逃げ切れる”かもしれません。小池氏が徹底抗戦を行えば、最高裁まで争うことになっても不思議ではないでしょう。一方、小池氏の任期は今年7月に満了を迎えます。判決が確定しなければ、都知事を辞めさせられることはありません。裁判の長期化を見込み、7月7日に投開票が予定されている都知事選に三選を目指して立候補、その時はカイロ大卒の学歴を削除することも考えられます。当選すれば次の任期満了は2028年の7月で、この時でも最高裁の判決は確定していない可能性があります」(同・若狭氏)
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