【小池知事・学歴詐称疑惑】私文書偽造で立件されたとしても、政治家としては逃げ切る可能性…サッチーの“コロンビア大卒”とも比較

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小池氏が飛びついた「声明書案」

 2020年5月に『女帝』が出版されると、都議会も内容を重視。議会最終日の20年6月10日に「小池都知事のカイロ大学卒業証書・卒業証明書の提出に関する決議」が提出されることが決まっていた。

「さらに都知事選の投票日は7月5日という緊迫したスケジュールでした。小島さんによると、6月6日に小池氏から呼び出されたそうです。『女帝』の出版で困っていると明かした小池氏に、小島氏は卒業したか確認すると、小池氏は『したわよ』と即答。小島氏が『卒業証書や卒業証明書を見せればいいじゃないですか』と助言しても、小池氏は『卒業証書などはあるが、それで解決しないから困っている』などと返答するだけで、最も簡単で確実な証明方法である卒業証書や証明書の開示は拒み続けたそうです」(同・記者)

 小島氏は新しい卒業証明書などの発行を大学に申請するよう助言。その上で、都知事選が目前に迫っていることから、カイロ大学の学長から「卒業した」と明言してもらう方法を思いついたという。

 新しい卒業証明書が届くまでの方策として、学長が「卒業した」と明言する声明文のようなものを、PDFなどで送ってもらえばいい──小島氏の提案に、小池氏は安堵の表情を浮かべた。

キーパーソンの「A氏」

 すると小島氏が予想もしなかったことが6月9日の午後2時過ぎに起きる。突然、カイロ大学学長の署名が入った声明文が駐日エジプト大使館のFacebookに掲載されたのだ。あまりにも早すぎる展開に、小島氏は少し違和感を覚えたという。

 だが都知事選が目前に迫っているため、小島氏は様々な業務に忙殺されてしまう。一方、声明文の効果は絶大だった。大手メディアが一斉に報道し、学歴詐称疑惑はあっという間に沈静化した。結局、7月5日の都知事選で小池氏は圧勝、再選を果たした。

 都知事2期目の小池氏は、自民党や公明党との協調路線に切り替える。21年7月の都議選では選挙応援に消極的な態度を示した。こうしたことから小島氏は事務総長を辞め、小池氏と距離を置いた。そして、ことあるごとに「なぜ小池氏は卒業証書や証明書を出さなかったのか」という疑問と、「自分は小池氏の学歴詐称に加担してしまったのではないか」という不安に苛まされることになったという。

 ところがある日、《小池さんのブレーンの一人で、私とも旧知の間柄》である《元ジャーナリストで表には出ていない》A氏と話した際、小島氏は声明文を提案したことに忸怩たる想いを抱いていると打ち明けた。

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