故人を冒涜する「遭難系YouTube」が人気 登山ライターの怒りと警鐘

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「顔がぐちゃぐちゃに…」刺激的な煽り文句

 最大の問題は、遭難した人へのひどい冒涜になっているケースが目立つことである。

<「若い者には負けん!」 時代の変化を無視 83歳男性率いる高齢者集団 全身損傷し闇と消える>

<19歳美人山ガール 顔がぐちゃぐちゃに… 剱岳滑落事故>

<「お花摘みに行ってくるね♪」 史上最強の女王が お○っこ中にまさかの事態 700m滑落死>

 これらは実際に公開されている動画の煽り文句である。

 あなたの家族が遭難の当事者だとして、故人がこのような文句でさらされていたらどう思うだろう。それもまるでホラー映画のようなサムネイルデザインで。家族が軽薄なエンタメの道具にされたように感じはしないだろうか。

 インターネットはクリックされてなんぼの世界である。そのために刺激的な見出しを付けることが常態化している。この「デイリー新潮」だって例外ではない。それを否定するつもりはないが、限度というものはあるだろう。人の死や不幸を踏みにじってまでクリックさせることのみを狙ったものは批判されてしかるべきである。

 登山者のミスをことさらに強調し、「山をナメた末路」という印象に意図的に誘導する動画も多い。そのコメント欄を覗くと、「バカは死んで当然」とか「自業自得っしょw」などの罵詈雑言で溢れている。こうなるともはや社会悪であるとさえ思う。

 こういった動画が大量に投稿される背景には何があるのか。著作が盗用される被害に遭った山岳遭難ルポの第一人者や「遭難系YouTube」でトップクラスの人気を誇る運営者に実態を聞いた。

後編【5000円で台本募集…無断盗用&間違いだらけの「遭難系YouTube」が乱発されるワケ】へ続く

森山憲一(もりやま・けんいち)
1967年、神奈川県横浜市生まれ。神奈川県立厚木高校、早稲田大学教育学部(地理歴史専修)卒業。山と渓谷社、枻出版社で編集者として活躍。現在は、登山、クライミングをテーマに執筆を行う。

デイリー新潮編集部

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