結婚直後、年下妻のコンプレックスと憎悪を知ってしまった夫 彼女を怒らせたら大変なことになると知りつつ、白状してしまった“秘密”とは

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父は結局、不倫していた

 彼は家を出たが、父親から生活費はたっぷり送られてきた。学業に励む一方でアルバイトをし、父からの生活費はほとんど貯金に回した。その後、留学先となった国で仕事をしていたが、父の急逝を受けて38歳のときに帰国した。

「父はしっかり遺書を残していました。どうやら毎年書き換えていたようです。父が親から受け継いだ会社は、再婚相手の子どもに譲ると。僕には何もなかった。親戚が気の毒がっていましたが、父からは何ももらわないと決め、遺留分も放棄しました。父が死んで初めて、再婚相手の子が僕の1つ下だと知りました。僕が生まれる前から父には女がいたわけです。母はおそらく知っていたんでしょう。でも我慢していた。出て行ったのはよほど屈辱的なことがあったのか、父が追い出したのか……」

 心の傷を抱えたまま、彼は大人になり、父の会社を継ぐこともなく、親戚との縁も断った。人に甘えることもなく、恋愛らしい恋愛をすることもなかったと彼はひとりごちた。

「妹に会ってみないか」

 父を見送ったあと、彼は再度、外国に出ていくことを考えた。だがそんな彼の気持ちに飛び込んできたのが、大学時代の友人の妹である千芙美さんだった。

「高野というその友人は、数少ない心開けるヤツでした。ただ、僕は彼にさえ自分の親のことは話せなかった。僕が子どもの頃に離婚したとは言ってありましたが。久々に日本に帰ってきて彼と会ったとき、父が死んだけど僕には何の財産も来ないよと言ったら、彼は『そのほうがしがらみがなくていいじゃないか』と言ったんですよ。ああ、確かにそうだなと思いました。親を背負わずにひとりで生きていけるんだから、これはこれでラッキーだったのかもしれないと」

 すると高野さんは不意に「妹に会ってみないか」と言った。雅明さんは、彼に妹がいることを知らなかった。

「妹といっても腹違いなんだけどね、と彼は苦笑していました。『うちのオヤジは女癖が悪くてさ、あるときいきなり女の子を連れて帰ってきて、この子はオレの子だから今日からめんどう見てほしいと母親に言ったんだよ。オレ、そのとき高校生だった。突然、3歳の妹ができたわけ。あのときはどう考えたらいいのかわからなくて、オヤジに殴りかかったんじゃないかな、かあさんの気持ちを考えろよとか言って。妹のおかあさん、そのころ亡くなったというから、まあ、今ならオヤジの気持ちもわからなくはない。もちろん、いきなり連れ帰るのは論外だけど』と。彼もまた、複雑な家庭環境だったようです。だけど妹はいい子だよ、それは自慢できると彼は言っていました」

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