バブル末期、利潤の追求より「倫理の大切さ」を訴えた東大総長の深いスピーチ
1990年代初め、当時の日経平均最高値更新、売り手市場のバブル景気の浮かれる空気に対して、危機感を持った学者がいた。東京大学総長、有馬朗人(物理学)――彼は社会に対する警告ともとれる言葉で、学生たちに語りかけた。
世の中がまだバブルの夢から醒めない中、学生たちが利潤を追求する資本主義に飲まれ、学びの本質を忘れないために語りかけた熱いメッセージは一体どのようなものだったのか。石井洋二郎・東大名誉教授の著書『東京大学の式辞 歴代総長の贈る言葉』から、石井氏の解説と共に、有馬総長の式辞の一部を見てみよう。...