カギを握る場所、甘味処「竹もと」のモデルは? 「虎に翼」がより面白くなる7つのポイント
5:女性の高等文官試験司法科(現・司法試験)合格率
三淵嘉子さんは編入先の明大法学部を卒業してから約半年後の1938(昭和13)年11月、同級生の中田正子さん、1学年下の久米愛さんとともに高等文官試験司法科に合格した(合格者総数242人)。女性の合格者はこの3人のみ。東京朝日新聞(現・朝日新聞)が「快挙」と大きく報じたほどだった。
愛さんは嘉子さんより3歳年上。司法科試験の合格時には結婚していた。戦後は戦争による貧困が原因で犯罪に走った女性たちなどの弁護に当たる一方、日本政府代表として国連総会に出席。公平な社会の実現を訴えた。
正子さんは嘉子さんより4歳年上。戦後は弁護士として活躍し、同時に婦人雑誌で法律が絡む読者の悩みに答えた。
当時の司法科試験の合格率は10%以下。戦後の司法試験の合格率も低く、1960年度は約4%、1970年度は約2.6%、1980年度は1.7%。「最も難しい国家試験」と言われ続けた。
1992年以降は国がたびたび司法試験改革を行ったため、近年の合格率は20%台~40%台。うち女性は2~3割を占めている。
6:法服にも注目
第8回から10回、寅子は男装の同級生・山田よね(土居志央梨・31)たちとともに民事訴訟を傍聴した。夫の暴力に耐えかね、離婚裁判を起こし、1審で勝訴した妻が、夫の家に残した母親の形見の着物などを返してもらいたくて起こした訴訟だ。寅子は傍聴席から妻に対し、「がんばれ」と声を掛けた。
原告である妻の弁護人はお笑いコンビ・シソンヌのボケ役・じろう(45)、被告の立場の夫を弁護したのはツッコミ役の長谷川忍(45)。民事なので2人とも弁護士。その法服の刺繍は「白色」。潔白を表す。
栗原英雄(58)が演じた裁判官の法服の刺繍は「深紫色」。尊厳を象徴している。今後、刑事裁判も登場するが、その場に出てくる検事の法服の刺繍は「深い緋色」これらは1890(明治23)年の勅令など史実に基づいている。
ナレーションは現代の言葉を使い、分かりやすくしているが、美術は本物志向。法廷内も刑事裁判のときは裁判官と検事の位置が高く、弁護士は低くなる。戦前の不公平な裁判の一端が垣間見られる。
ちなみに裁判官以外の法服は1947年に廃止され,検事と弁護士はバッジの着用のみとなった。
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