キムタク新ドラマ「Believe」 「岩盤支持率狙いで高視聴率は間違いない」と囁かれる根拠
「Believe」はストーリーも50代以上の女性を意識
「Believe」のストーリーも50代以上の女性を意識しているに違いない。キムタクが演じる狩山陸は大手ゼネコンの土木設計部で部長を務める土木設計家。橋造りに情熱を燃やしている。まず“橋を造る男”という設定がシブい。
ところが狩山は濡れ衣を着せられ、投獄されてしまう。その後、脱走し、真犯人を追う。往年の米国人気ドラマ「逃亡者」(日本ではTBSが1964年から放送、テレ朝が2020年にリメイク)を彷彿させる。
もっとも、10%を超える世帯視聴率が獲れようが、実利はない。2020年4月に個人視聴率が導入され、これが基準値になって以降、局もスポンサーも使っていないからだ。
個人視聴率なら観た人の人数、性別、年齢、家庭内での立場などが分かるから、世帯視聴率を使う理由がないのである。世帯視聴率が良い場合のメリットは対外的に体裁が良いこと、一部メディアから叩かれなくなる程度のことに過ぎない。
半面、50代以上の女性の高い個人視聴率がほぼ確実に見込めるのは大きい。この放送枠のスポンサーは花王、ニトリ、山崎製パンなどで、視聴者が若い世代でなくても構わないのである。
岩盤支持層を追う作品、追わない作品
逆に50代以上の女性を狙わなかったキムタクのドラマはフジ「風間公親-教場0-」(2022年)。だから世帯視聴率はそう高くならず、全回平均は9.8%。しかし、フジも基準値は個人視聴率だ。中でもコア視聴率を重視しているから、世帯視聴率の2ケタ割れは全く問題ではなかった。
このドラマでキムタクが演じた刑事指導官は、無愛想でちょっと嫌味な初老の男。作風もハードボイルド・ミステリーだったから、岩盤支持層である50代以上の女性に歓迎されず、個人視聴率も上がらなかった。
このため、世帯視聴率も頭打ちになり、一部から「失敗作」との声も上がったが、フジ関係者たちはどこ吹く風。50代以上の女性が観なかった分、普段はキムタクのドラマを観ない若い世代を取り込めて、個人視聴率の全回平均が6.6%と高かったからだ。特にT層(13~19歳)の個人視聴率は毎回全ドラマの中で1、2位を争った。
そもそも、このドラマの放送枠は「月9」(月曜午後9時)なのである。制作者は最初から若い視聴者を狙っていた。
そう考えると、2020年と翌21年のスペシャルドラマを連ドラ化し、キムタクに刑事指導官を演じさせたのは正解だった。この設定だったから、キムタクが指導する若手刑事役として、若い世代の支持が厚い赤楚衛二(30)、新垣結衣(35)、北村匠海(26)らを起用できた。
第一、今さら「月9」で50代のキムタクがラブストーリーをやったり、スーパーヒーローを演じたりしたって、若い世代は観ないだろう。
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