自民党裏金問題、厳しい処分となったウラ事情 「一時的には『除名』同様の憂き目に」
「再聴取は政治的なポーズ」
批判の高まりを受けて首相自身が先月26日から2日間、幹部4名に再聴取を実施したが、
「政倫審の場で真相が解明できなかったわけですから、再聴取は政治的なポーズであるのは見え見えでした」
政治ジャーナリストの青山和弘氏が言う。
「岸田首相は再聴取を実施した先々週半ばまでは4幹部について、上から3番目に重い処分である『党員資格の停止』か、4番目に重い『選挙における非公認』を検討していました」
ところが、と続けて、
「国民の反発が想像以上に強く、党内からもより分かりやすい厳格な処分を求める声が相次いだ。しかも、コロナ禍の緊急事態宣言発令中に銀座のクラブを訪れた松本純元国家公安委員長ら『銀座3兄弟』は離党勧告を受けています。岸田首相は周辺に“安倍派幹部の責任を厳しく問わないと、処分全体が甘いと受け止められる”と漏らすようになり、少なくとも一部幹部には『離党勧告』を出すべきだとの考えに先々週末、官邸は一気に傾いたのです」
一時的には「除名」同様の憂き目に…
「離党勧告」は最も重い「除名」に次いで重い処分である。処分が下った場合、それを拒むことはできず、離党を受け入れざるを得ない。唯一の違いは「除名」の場合、原則的に復党が許されないことだ。
先のデスクが言う。
「離党勧告を受けた『銀座3兄弟』のうち、田野瀬太道衆議院議員(49)は21年10月の総選挙に無所属で立候補し再選。当選後自民党から追加公認され、復党となりました。一方で、麻生派の松本氏は落選。麻生太郎副総裁(83)の気持ちを慮ったのか、茂木幹事長の決裁で一時は復党が認められたものの、地元の神奈川県連が猛反発し、白紙になった。結局、22年1月まで松本氏の復党は認められませんでした」
「離党勧告」をはじめ、「党員資格停止」や「非公認」の処分を受けた場合、選挙で勝てば追加公認を得られる。だが、負けてしまえばしばらくは無所属の立場に甘んじなくてはならない。つまりは「『非公認』以上の処分は、一時的には『除名』同様の憂き目に遭う」(同)のだ。
後編では、離党勧告処分となった塩谷氏が取材に語った“他人事”すぎるコメントなどについて報じる。
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