かつては“やらせ”が問題に…「新プロジェクトX」の初回放送で気になった演出
「再現」を嫌いすぎる
2007年にNHKで放送された「事件の涙」というドキュメンタリー番組を思い出す。闇サイトで集まった男たちに娘を惨殺された母親の取材で、娘の思い出がつまった自宅での撮影を拒否され、NHKは自宅の替わりにウィークリーマンションのような場所に「再現セット」を作って撮影した。「再現セット」である事実を隠して放送した。
同じ母親を取材していた民放のドキュメンタリー制作者の指摘でそれが明らかになり、再放送では「自宅ではない」とNHKはテロップでお断りを入れることになった。問題提起した民放制作者は「NHKがこれまでの番組でも繰り返してきた常套手段なのではないか」と著書で疑問を呈している。
ドキュメンタリーの本家本元という意識が強すぎるせいか、NHKにはときおり「過剰な演出」と思える描写が目につくことがある。久しぶりの本格的なドキュメンタリー番組「新プロジェクトX」はそんなところでつまずかないでほしい。
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記事「『ふてほど』の後ではキツい…NHK『新プロジェクトX』の昭和的すぎる“美談”」では、番組内の時代錯誤な要素を水島氏が指摘している。