「ふてほど」の後ではキツい…NHK「新プロジェクトX」の昭和的すぎる“美談”
「ふてほど」サカエなら怒り出しそうな…
しかも、登場するのは男性ばかりだった。女性は出てくるとしても「妻」という役割だ。スカイツリーの工事にかかわった関係者に女性はいなかったのか。それを除外するのは「昭和的」な、仕事の描き方ではないのか。ドラマ「ふてほど」で吉田羊が演じた社会学者の向坂サカエなら「信じられない!時代は令和なのにジェンダー平等の人権感覚がなっていない!!」と怒り出すのではないだろうか。
加えていえば、スタジオでは有馬嘉男キャスターの隣に森花子キャスターが座っている。まさに「花を添える」感が濃厚で、女性が番組に主体的に関わっているという印象が乏しい。女性の社会進出ひとつとってもこんな現状だからこそ、日本は世界に遅れをとっているのではないのか。そういったテーマにできないのか? 思わず突っ込みたくなるほど初回の放送では「足りない点」ばかり目についた。
もちろん「ドラマ」と「ドキュメンタリー」は違う。いってしまえば、前者は「俳優が演じる“作り話”」で後者は「当の本人が行う様子を撮影した“実話”」だ。“実話”が現代の価値観にそぐわないことも、もちろんあるだろう。とはいえ取り上げるテーマの選択や、着目する関係者などの工夫で、本稿で論じた問題点には対処できるのではないか。令和版に求められるものとして「新プロジェクトX」の制作者も“挑戦”してほしい。
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記事「かつては“やらせ”が問題に…『新プロジェクトX』の初回放送で気になった演出」では、初回放送での危うい場面を水島氏が指摘している。