「Destiny」初回でいきなり“事故死“…女優・田中みな実は一人前か、発展途上か

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飽きられちゃうのが一番悲しいこと

 田中はこれまでに19本のドラマに出ているが、その中でもテレ朝「M 愛すべき人がいて」(2020年)で演じた姫野礼香はエキセントリックでサイコパス的だった。レコード会社専務(三浦翔平)の社長秘書なのだが、勝手に専務が自分の結婚相手だと信じ込んでいた。

 このため、専務が関心を示す女性アーチストらに激しい憎悪心を燃やし、嫌がらせを繰り返した。行動全般が常軌を逸し、犯罪的行為も厭わなかった。この手の役柄が似合う女優はそういない。

 TBS「俺の家の話」(2021年)では、人間国宝の能楽師(西田敏行)に甘える通訳に扮した。この能楽師に気がある素振りを見せながら、肩すかしを食らわせた。この女性もあざとく、田中はハマっていた。

 TBS「最愛」(2021年)、フジテレビ「あなたがしてくれなくても」(2023年)でも爪痕を残した。アナ出身であることから、色眼鏡で見られがちだが、もはやドラマ界にとって欠かせぬ存在だと言っていいのではないか。

 TBSを退社して10年。当初はフリーアナに専念するつもりだったという。

「女優をやるとは思っていませんでした。バラエティー番組も大事で、雑誌もやりたい仕事がある中で、最初は(ドラマの長い)スケジュール拘束へのフラストレーションがあって『ワンシーン撮るために何でこんな遠方に来るの』と思いました」(2020年6月12日付スポーツ報知)

 しかし、女優としてスタッフや視聴者から一定の評価を得るうち、欲が出た。

「視聴者さんに飽きられちゃうのが一番悲しいことです。そうならないように常に新しい物を提供できるような状態であり続けたいと思っています」(2020年7月6日付デイリースポーツ)

“熱愛報道”亀梨との共演にも動じず

「Destiny」では恋人と伝えられる亀梨と共演。亀梨に思いを寄せるという役柄だから、私生活と重なり合う部分もあるが、やりにくいということはないようだ。なにしろ田中はメンタルが強い。

 昨年2月18日放送のTBSラジオ「田中みな実 あったかタイム」(土曜午後6時30分)内では「プライベートでは人付き合いがないですよ。どんな会にも属してないし、だからどこからも呼ばれない。楽ですよ」と、軽く語った。こう言い切れる人も珍しい。孤独も孤立も恐れていない。

 一方で「視聴者さんに飽きられちゃうのが一番悲しい」という人なので、自分と亀梨への関心からドラマへの注目度が高まったことを歓迎しているのではないか。

 女性アナ出身の女優は田中のほかに元NHKの故・野際陽子さん、元フジの山村美智子(67)、引退した元長野朝日放送の斎藤陽子さん(55)、元TBSの宇垣美里(31)、元テレビ東京の森香澄(27)らがいる。しかし、第一線で長く活躍する人は数少ない。

 歌手から女優への転身組は「歌も演技も同じ表現だから、成功率が高い」(TBSプロデューサー)と言われ、実際に元キャンディーズの伊藤蘭(69)、モダンチョキチョキズの濱田マリ(55)、元東京パフォーマンスドールの篠原涼子(50)、元ribbonの永作博美(53)、元folder5の満島ひかり(38)らが活躍している。

 それと比べると、やはり表現者でありながら女性アナ出身組の成功例は目立たない。転身時の年齢が高くなってしまうせいでもあるだろう。しかし、田中が大成功を収めたら、後を追おうとする女性アナが増えるに違いない。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。放送批評懇談会出版編集委員。1990年にスポーツニッポン新聞社に入社し、放送担当記者、専門委員。2015年に毎日新聞出版社に入社し、サンデー毎日編集次長。2019年に独立。

デイリー新潮編集部

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