「被検者の身長を故意に低く改ざん」「開発責任者に生薬の知識がない」 小林製薬のずさん過ぎる開発体制とは【紅麹サプリ問題】

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「取り締まる専用の法律がないのが問題」

 以上の企業体質に関して指摘すると小林製薬は、

「皆様にご心痛やご不安をおかけしており、おわび申し上げます。紅麹関連製品の回収およびお客様への対応等に全力を挙げて取り組んでおり、回答を差し控えさせていただきます」

 現在、紅麹サプリが機能性表示食品だったことも波紋を広げている。

 食の安全・安心財団理事長の唐木英明氏によれば、

「機能性表示食品制度では、ある食品について効果を謳うにあたって、国の審査を必要としません。消費者庁への提出が義務付けられている、有効性と安全性を示す論文の形式さえ整っていれば、申請どおりの内容で機能性表示食品として登録できてしまうのです。費用を抑えて簡単に登録できる制度だといえます」

 ただし、提出した論文は消費者庁のホームページで公開される。つまり、審査の必要がない代わりに国民の監視の目にさらされるというわけだが、

「取り締まる専用の法律がないのが問題です。人体に作用する効果を謳っているにもかかわらず、あくまで食品に過ぎないという考え方のもと、食品衛生法などで取り締まることしかできないのです。薬であれば薬機法によって製造工程の基準が厳格に定められていますが、機能性表示食品はそうではない。今回、トクホなども含めた健康食品と一般食品を区別する専用の法律がないことで、安全性が担保しづらいという問題が露呈したと思います」(同)

経営上の危機を迎える可能性も

 さて、小林製薬はこの先どうなってしまうのか。

 企業ガバナンスに詳しい青山学院大名誉教授の八田進二氏に聞くと、

「損害賠償の総額がどれほどになるのか、まだ予測がつかないので何とも言えませんが、訴訟が日本国内だけであれば会社の負担は限定的かもしれません」

 同社は8割近くの高い自己資本比率を誇り、実に約1680億円もの内部留保をため込んでいて、財務的に余裕があるように見える。

「内部留保などの数字を見るかぎり、払えないことはないと思います。とはいえ、すでに社会的信用が大きく毀損しているので、長期的に見れば人材が流出したり商品が売れなくなったりして、売り上げが縮小していく。最終的には経営上の危機を迎えてしまう可能性も十分に考えられます」(同)

 前編では、不祥事の背景にある強欲な企業体質について、一雅会長の人物像などと併せて報じている。

週刊新潮 2024年4月11日号掲載

特集「『紅麹サプリ』被害隠蔽中に摂取の死者も! 『小林製薬』の元凶は強欲会長」より

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