“北陸新幹線”延伸で話題の「敦賀駅」に不満が殺到…「中京・関西住民はかえって不便に」、「乗り換え“わずか8分”問題」も
フリーゲージトレインの不採用の影響
こうした事態が起こることは、開業前から予測されていた。2018年には沿線の自治体などが中心となり、新大阪延伸までの間、福井駅まで直通する特急を残すようにと国やJRに要望しているのだ。しかし、新幹線が開業すると、特急が走っていた北陸本線の一部は第三セクター鉄道に移管されてしまうため、実現しなかった。
いったいなぜ、こんなに面倒な乗り換えが生じる羽目になってしまったのだろうか。それは、フリーゲージトレインの開発が難航したためである。JRでは、新幹線と在来線で線路の幅が異なるため、相互に車両の乗り入れができない。そこで、線路の幅に合わせて車輪の幅を変えて、新幹線でも在来線でも走行できる列車の開発が進んでいた。これがフリーゲージトレインである。
当初は、西九州新幹線の開業に合わせて採用が予定されていた。しかし、走行試験を繰り返す中で台車に亀裂が見つかったという理由で、2018年に開業時の実用化を断念した。その影響を大きく受けたのが北陸新幹線である。実は、北陸新幹線の金沢~敦賀間開業の際は、新大阪駅まで全通が実現するまでの繋ぎとしてフリーゲージトレインを採用する予定だったのだ。乗り換えの手間を省いて利便性を確保しようという構想だったが、北陸新幹線も導入を断念してしまった。
フリーゲージトレインの技術が未熟なまま、見切り発車で計画を進めたことが、今回の不便な乗り換えに繋がっているのは否めないだろう。高齢者が重そうな荷物を持ち、敦賀駅の階段を上っているのを見て、気の毒に思えた。全通までは特急を数往復でもいいから、残すべきだったのではないかと考えてしまう。せめて対面乗り換えを採用するなど対策を練って欲しかったが、導入を断念してから駅舎の設計を変更するのは難しかったのであろう。
GW、混雑なく乗り換えができるか
合間に駅弁を買う時間があったり、途中下車をしたりする余裕がある旅であれば、乗り換えはそれほど苦痛ではない。しかし、一刻も早く目的地に向かいたい場合は本当に面倒であり、心理的な負担は大きい。それでも、特急から北陸新幹線に乗り継ぐ際は、ひたすら新幹線乗り場を目指せばいいので、まだ負担は少ないかもしれない。問題は、北陸新幹線から特急に乗り継ぐ場合である。
関西に向かう「サンダーバード」と中京に向かう「しらさぎ」は33番・34番乗り場から発着するが、ホームを挟んで向かい合わせに並んでいることがあるのだ。これはいただけない。目的地と別方向に行く列車に乗ってしまう可能性があるし、しかも列車のデザインがかなり似ているのだ。鉄道ファンなら見分けがつくかもしれないが、一般人は違いがわかりにくい。せめて、車両のカラーを赤と青くらい明確に塗り分けるなど、対策が必要だったのではないか。
また、乗り換えの便を図るため、敦賀駅の床には色分けして、特急「サンダーバード」と特急「しらさぎ」の乗り場が案内されている。はっきり言って、「京都・大阪方面」と「岐阜・名古屋方面」と併記した方が良かった気がするのだが、いかがだろう。鉄道ファンでもない一般人は、列車の愛称などどうでもいいし、頭に入っていないのだ。
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