大谷翔平が「嘘つき」呼ばわりされた「1号ホームランボール」騒動、メモリアルボールが異常高騰している今どきの事情

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価格の異常な高騰

 MLB研究家の友成那智氏は「まずは基本のルールに立ち返りましょう。ホームランボールは、それを手にした人に所有権が与えられるのが大原則です」と言う。

「大谷選手のドジャース第1号のホームランボールを所有する権利を持つのは、間違いなくアンバーさんです。もしアスレチックの報道が事実なら、ドジャースの対応は問題があったと言わざるを得ません。本来なら球団側は『ボールをいただけませんか?』とお願いする立場でしょう。ただし、これが10年前の話なら、アンバーさんは気軽にボールを渡し、返礼品を受け取ったと思います。話がここまでこじれてしまった原因の一つとして挙げられるのは、野球のメモリアルグッズを巡る取引価格が最近になって異常なほど高騰しているからではでしょうか」

 インターネットで検索すると、通常の大谷のサインボールに2000ドル(約30万円)の値が付いていることが分かる。アスレチックの記事には、ドジャースが運営するショップでは大谷のファウルボールが1万5000ドル(約220万円)で販売されているとの記述があった。友成氏によると、背景にあるのはeBayの普及だという。

ドジャースの焦り

「日本で中古品はメルカリやYAHOO!オークションで売買されますが、アメリカではeBayです。昔はMLBの記念グッズを売ったり買ったりしようとしても、好事家を対象にした狭い市場しかありませんでした。ところが、インターネットオークションの普及で市場規模が一気に拡大したのです。さらに今のアメリカではインフレが続いていることも影響し、取引価格が急騰しているのです」(同・友成氏)

 2000年代に活躍したショーン・グリーンという外野手がいた。通算ホームランが328本という強打と、ゴールデングラブ賞に輝いた攻守で知られ、ドジャースにも在籍したことのあるスター選手だった。

 友成氏によると、とあるシーズン、節目の記念ボールを手にしたファンが、グリーンに2万5000ドルでの買い戻しを要求した。すると彼は高すぎると拒否して話題になったという。

 今の1ドル約150円で計算すると約375万円。2005年8月の1ドル118円を適用すれば約290万円。どちらの金額であっても、今のメモリアルグッズの取引価格が高騰しているのは明らかだ。

「昔から球団側は、節目のボールを確保するために返礼品を用意していました。ほんの数年前なら釣り合ったものでも、今の価格高騰には全く追いつけていませんので、球団側も大変でしょう。さらにドジャース側には焦りがあったのかもしれません。もし大谷選手が1号のホームランボールを所有すれば、球団が貸し出しを頼めるからです。大谷選手の許可をもらい、期間限定でドジャースタジアムに展示すれば、話題になるのは間違いありません」(同・友成氏)

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