ドイツの右傾化が止まらない…移民受け入れ・グローバル経済を推し進めてきた「リベラル政治家」が真に向き合うべき相手とは
不動産危機は「あと2年続く」との予想
欧州最大のドイツ経済の雲行きがあやしくなっている。
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ウクライナ戦争に起因するインフレを抑止するため、欧州中央銀行(ECB)が大幅な利上げを余儀なくされ、そのせいでドイツの不動産市場が大打撃を被っている。
ドイツの商業用不動産市場は米国以上に深刻のようだ。ドイツファンドブリーフ銀行協会によれば、商業用不動産価格は昨年第4四半期、前年同期に比べて13%下落し、過去最大の下げを記録した。
商業用不動産市場の危機は金融機関にも悪影響をもたらし始めている。欧州銀行監督機構(EBA)によれば、ドイツの銀行が保有する商業用不動産ローンの不良債権額は昨年第4四半期に39億ユーロ(約6300億円)も増加した。
ECBのマイナス金利が続くなか、ドイツの銀行は収益を上げるために商業用不動産融資に力を注いできた。しかし、今となってはそのことが仇になった形だ。
住宅用不動産市場も低迷している。ドイツ連邦統計庁の発表によれば、昨年の住宅用不動産価格は前年に比べて8.4%下落した。2000年の統計開始以来最大の落ち込みであり、住宅用不動産市場も最悪の危機に見舞われている。
ドイツの不動産危機について、業界関係者から「あと2年は続く」との予測が出ている(3月14日付ロイター)。しかし、バブル崩壊後の日本の例にかんがみれば、危機は10年以上続くのではないかとの不安も頭をよぎる。
経済成長率は2年連続でマイナス成長か
企業の業績も大きく悪化している。ドイツ政府によれば、昨年の企業倒産は前年比22.1%増の1万7814件だった。「産業の空洞化」も顕在化しており、昨年の海外企業によるドイツへの投資は過去10年で最低水準だった。一方、国内の事業コストの増加を嫌気して、海外投資を検討する企業も増加している(3月12日・14日付ロイター)。
ドイツ経済を牽引してきた自動車産業も苦境に陥っている。成長が期待される電気自動車(EV)市場で中国メーカーとの競争に敗れつつあり、「ドイツの自動車産業は生存の危機にある」との嘆き節が聞こえてくる。
昨年は0.3%減だった経済成長率が、今年もマイナス成長となることが現実味を帯びてきているのだ。
経済が不調になれば政治に悪影響が及ぶのが世の常だ。「反移民」などを訴える政党・AfD(ドイツのための選択肢)の支持率が第2位となる状況が続いており、ドイツ政府関係者の頭痛の種となっている。
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