巨人、「筒香嘉智」獲得報道を考える「活躍できるかは甚だ疑問」【柴田勲のコラム】

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「シーズン中も競い合ってほしい」と言っていたはず

 筒香は、渡米5年目の今季はマイナー契約でジャイアンツの招待選手としてメジャーのキャンプに参加したがマイナーに降格し、3月21日に退団。その後米球界のオファーを待っていたがどこからもお呼びがかからなかった。

 こんな経緯を見ても大きな期待はかけられないと思う。最近はマイナーでの出場も限られ持ち前の長打力も影を潜めていた。

 巨人には新人の佐々木俊輔、萩尾匡也、松原聖弥、オコエ瑠偉、浅野翔吾、ベテランの長野久義、重信慎之介、いまはファームだが秋広優人もいる。外野手は豊富だ。阿部監督はオドーアが退団しても「大きなチャンスになる。みんなでシーズン中も競い合ってほしい」と話していたではないか。

 まさにチャンス到来で既存戦力の底上げが可能だ。どんどん使えばいい。梶谷の離脱もあってチームが一丸になる必要がある。みんなで競うことによってチームは活性化する。そのための環境も必要だ。

阿部監督の起用に疑問

 5日のDeNA戦、1点を追った9回無死一塁での丸のバントにはビックリした。山崎康晃の初球だったが失敗、一塁走者・門脇誠は二塁封殺となった。

 その後、1死一、二塁から坂本が併殺打で敗れた。ここで3番にバントはない。高校野球だって打たせる。

 大城卓三の再三のバント失敗が阿部監督の不評を買っている。一度失敗すると、どうしても意識する。打たせるのも手だろう。佐々木を開幕戦から1番で起用したが、3試合で結果が出ないと次の試合ではスタメン落ちした。以後、1番での起用はない。オープン戦で打っても公式戦は違うが、一度使うと決めたのなら打順を下げてでも起用してほしかった。足と守備力はある。

 DeNAは新人の度会隆輝を開幕からずっと1番で使い続けている。三浦大輔監督は開幕直後の活躍からちょっと結果を出せなくなっても目をつぶっている。

 2日の中日戦では高卒2年目の浅野を3番に据えた。これもよく分からない。第一、実績がない。起用の決め手はなんだったのか。翌日はスタメン落ちだ。ヨアンデル・メンデスが初登板で四球から自滅すると即2軍落ちした。これも見切りが早すぎるのではないか。松井颯は6日の試合で同点の5回2死満塁で登板したが、制球が乱れて二つの押し出し四球を出した。

 あの場面でマウンドに上がるのは松井クラスの投手には厳しかったと思う。阿部監督は「困った時はど真ん中」と言うが、投手はベンチの雰囲気を察するものだ。

投手陣はよく頑張っている

 いろいろと指摘した。うまくいっている部分もあろうが、どうも阿部監督は選手たちを萎縮させているのではないか。繰り返すが9試合を見て思った次第だ。

 それでも4勝5敗と借金1は投手陣によるところが大きい。よく頑張っている。

 高橋礼の加入は本当に大きい。低め低めを狙って丁寧に投げている。大勢の復活もどうやら本物のようだ。でも、少し気負い過ぎだな。もっと楽に投げた方がいい。

 今週はヤクルトと2試合、さらに東京ドームで広島3連戦だ。5チームと一巡する。借金を返して貯金といってほしい。(成績などは8日現在)

柴田 勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会理事を務める。

デイリー新潮編集部

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