科学的に「糖質中毒」から脱する方法 悪性度ナンバー1の飲食物とは

ドクター新潮 ライフ

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意志ではなく行動を変える

〈想像をはるかに超えた、糖質摂取の重い弊害。すでに糖質と距離を取りたくなっている方も多いのではないか。

 最後は、その「距離の取り方」である。意志に頼らず中毒を脱するには、どうすればよいのか。〉

 糖質中毒は糖質の摂取をやめようと思ってもやめられません。そこで「意志」ではなく「行動変容」によって糖質を絶つのです。

 行動変容とは、文字通り、行動から変えてしまうこと。例えば、禁煙を考えている人がたばことライターと灰皿を常備していたら、その人が禁煙に失敗するのは火を見るよりも明らかです。本気で禁煙するなら、「たばこを買わない」、「たばこ屋に近づかない」、「喫煙OKの店には入らない」と行動を変え、物理的にたばこを遠ざけてしまうでしょう。場合によっては、口寂しさを解消するためにガムをかむなど代替行動を用意したりもします。

 糖質中毒もこれと同じ。お米やパンを家の中に常備しないのはもちろん、ラーメン屋さんやスイーツを買ってしまうコンビニにも近寄らない。日常で糖質を取ってしまうシーンを洗い出し、そこにつながる行動を徹底的に排除するのです。

糖質制限で筋肉は減らない

 ラーメンやスイーツをやめて浮いたお金をため、映画に行ったり、マッサージを受けたり、と自分へのご褒美に使うのも効果的です。また、糖質が少なく食物繊維が豊富なナッツや、ウイスキー・焼酎といった糖質が含まれない蒸留酒を上手に利用するのも一つの手。ただし、人工甘味料を使っている食品はかえって健康を害する恐れがありますから、手を出さないで下さい。

 何より大切なのは、今この瞬間から始めること。禁煙も「この一箱を吸い終わったら」なんて悠長なことを言っている人は大体、失敗しますよね。それから、主体的であることも重要です。糖質を「食べられない」のではなく、あくまで「食べない」のです。

「糖質制限をすると筋肉が落ちる」と心配する方もおられますが、糖質はさまざまな食品に含まれており、仮にご飯をやめても摂取する糖質はゼロになりません。それに、エネルギー源として筋肉が消費されるのはグリコーゲンや脂肪を使い切った後。脂肪細胞を全て燃焼するのには体重70キロの男性で約80日を要しますから、糖質制限で筋肉が減ることはありません。

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