「仕事にやりがいを感じる」は5%で145カ国中最下位! なぜ日本の会社員はやる気を失ったのか

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「熱意溢れる社員」は6%

 世論調査や人材コンサルティングを手がける米ギャラップ社が、2017年に世界各国の企業を対象に従業員のエンゲージメント(仕事への熱意)に関する調査を実施しています。それによると、日本企業の「やる気のない社員」の割合は70%にも達し、一方、「熱意溢れる社員」は6%に過ぎず、調査した139カ国の中で132位でした。なお、米企業の熱意溢れる社員の割合は32%で、日本の5倍です。

 さらに、同じギャラップ社が23年に発表した「グローバル職場環境調査」では、「仕事にやりがいを感じ、熱意を持って生き生きと働いている」人の割合はわずか5%で、調査した145カ国のうちイタリアと並んで最低でした。日本人の仕事に対するやる気は年々失われているといえるのです。

 昔と今とで、日本企業で働く人たちの質が明らかに劣化したということがあり得るでしょうか。私にはそうは思えません。真面目で誠実に働く日本人の気質は昔も今もさほど変わっていないでしょう。ということは、ギャラップ社の調査が示すように日本の社員のやる気が失われているのは、社員たちの資質以外に大きな原因があると考えるべきなのです。では、何が原因なのか。その答えこそ、失われた30年にあります。

2002、03年頃がチャンスだった

 失われた30年の日本企業を象徴する体質とは何でしょうか。それはコストカット最優先の「縮み経営」です。バブルが崩壊し、さらに1997年の金融危機で日本経済は大きな打撃を受け、各企業は「三つの過剰」の削減にまい進します。「過剰労働力」「過剰設備」「過剰債務」をとにかく減らして危機を乗り切ろうとしたのです。そうした状況では「社員=コスト」と見なされ、節約や管理に長(た)けた小役人的なコストカッターが重宝されました。

 このような縮み経営は、緊急避難的には致し方ない面があったと思います。しかし、一時の底を脱し、2002、03年頃から日本の景気は上向きました。結果論ではありますが、この時が縮み経営から脱するチャンスでした。ところが、多くの日本の企業はそのまま縮み経営を続けた。そうしている間に、08年にリーマンショックが起き、縮み経営から抜け出す機会を完全に失ってしまったのです。

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