玉ネギ、長ネギ、北朝鮮…混沌とする韓国総選挙 “台風の目”超イケメン候補は収監の可能性も怪気炎
“因縁の対決”で熱戦
ただ、当時の捜査を検事総長として指揮したのが尹大統領だったことから、“因縁の対決”として、政治戦がヒートアップしている。チョ・グク氏は同党の比例代表2位になっていることから当選は確実で「次期大統領はチョ・グク」という声さえ出てきた。一方で、最高裁で刑が確定したら収監されてしまうが、テレビ局の放送演説では、ひるむことなく「尹政権の無能力、非道さ、無責任は夜が明けるまで羅列しても終わらない」と、“宿敵”への怨念を隠さない。
世論調査では尹政権を支える保守系与党「国民の力」が劣勢で、革新系最大野党「共に民主党」の支持率がじわりと増えている。「祖国革新党」は「共に民主党」の“衛星”政党という位置づけとなっており、両党で200議席を奪うという観測まで上がっている。
与党が劣勢となっている理由のひとつが物価の上昇だ。農産物価格が2割以上も高くなったことが国民の間で不満を広める原因となっている。このような苦境の中、尹大統領に痛恨の“ミス”が浮上したという。
現地記者がこう明かす。
「尹大統領は先月18日、ソウル瑞草区の農協ハナロマートを訪れ店内に並ぶ野菜の価格を視察し、手に取った長ネギ1束の価格が875ウォン(約99円)だったため『合理的な値段だ』とうなずきました。これに野党や国民からは『そんな安いわけはない』『現実を知らない』などと批判が殺到。店を運営する農協流通が釈明に追われたが、尹大統領の視察後は長ネギ価格が再び上昇したため、『やらせではないか』と疑う声すら出ています。“玉ネギ”どころか、とんだ“長ネギ騒動“が政権与党の足かせとなっています」
さらに、追い打ちをかけているのが政権与党「国民の力」の韓東勲(ハン・ドンフン)非常対策委員長の失言だ。「1日に釜山市海雲台区で行った支援遊説で『政府には至らないところがあるかもしれないが、その責任は私にはないのではないでしょうか』と口を滑らせ、進歩派メディアから『図々しい』と強く批判されています」(前出の現地記者)。
韓委員長は尹大統領の最側近で、尹大統領と同じ検察官出身であることも知られている。「政治がよく分かっていない、との批判も根強いうえ、最近、韓委員長を揶揄する物まねパロディー動画が拡散されていることも政権与党を悩ませています。その芸人はドリフの仲本工事そっくりで笑えますよ」(同)
レームダック化も
このような事態を受け野党有利の観測が広がっているわけだが、総選挙の投票率は保守的な50代や60代が圧倒的に多く、20代や30代の若い層の投票率によっては先が見えない展開だ。日本にとっても韓国との関係に影響を与える選挙だが、日本の岸田政権と北朝鮮側で首脳会談が行われるのでは、との憶測も飛び交っているため事態は複雑だ。
「日韓の関係改善に努めてきた尹大統領ですが、日朝交渉では完全に蚊帳の外といった状態で、保守派からの批判もくすぶり始めました。野党大勝となると尹大統領のレームダック化が一気に進むことになりますが、北朝鮮との対立姿勢を崩さない尹大統領が日本の外交にどのような影響を与えるのかも勘案する必要がありそうです」(同)
玉ネギ、長ネギ、北朝鮮……。いずれもひとくくりに束ねるのは難しいだけに岸田政権としては慎重な舵取りを迫られそうだ。
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