「多部未華子」「黒木華」「佐藤隆太」「内山理名」…独立ラッシュの裏にあった「テレビの変心」「コンプラ圧」「ジャニーズ問題」余波の衝撃

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LINEで「辞めます」

 一方で、テレビが「最大のマスメディア」でなくなった点を挙げるのは、都内の芸能事務所社長である。

「最近はテレビ局や事務所発のプロモーション以外にも、タレントみずからのSNS発信によって話題を集めるケースも珍しくなく、相対的に事務所の影響力は低下している。テレビ出演のギャラ単価が下がるなか、タレント個人のSNSを通じて仕事が舞い込むケースも増えています」

 他にも配信を通じての“投げ銭”など、テレビという媒体以外にも「稼ぐ」選択肢が増えたことで、事務所とタレント間のパワーバランスに微妙な変化をもたらしているという。

「正直、いまはある程度、名前が売れたタレントなら事務所に頼らず、個人でやっていくことも可能になりつつある。さらに昨今のコンプラ意識の高まりで、パワハラ紛いの言動は御法度となり、事務所側もタレントに過度な“縛り”はかけづらい。つい先日も、2年目の若いタレントに少しキツめの言葉で遅刻したことを注意すると、数時間後に〈辞めます〉とLINEで退所報告が送られてきた」(同)

増える「初期投資」未回収

 深刻なのは、業界を襲う“地殻変動”が各事務所の経営面にも暗い影を落としている点という。

「これまでの芸能事務所といえば、“タレントを育てる”ことが“売り出す”ことと同じくらい重要な仕事の一つに数えられた。まだ無名のタレントに住居やレッスンの機会を与え、仕事がなくても役者やタレントとしての基盤づくりをサポート。初期投資分は持ち出しとなりますが、タレントが売れれば十分に元を取り返せるため、長く“ウィンウィン”の関係と考えられていた。しかし、最近はそんな手厚い育成システムを維持できなくなる事務所も増え、結果としてタレントの帰属意識を薄れさせる要因にもなっている」(同)

 事務所としては、売れた後でタレントに辞められると先行投資分を回収できなくなり、ビジネスモデルの転換を迫られるケースも……。

「だからタレントに独立を思いとどまらせるため、各事務所とも試行錯誤の日々です。たとえば、小栗旬らが所属する『トライストーン・エンタテイメント』は映画『クローズ』シリーズや『ルパン三世』などの映画製作も手掛けますが、そういったコンテンツ製作に事務所が乗り出す手法に、改めて注目が集まっている。タレントが事務所に所属する理由に“あの映画に出たいから”などの動機が加われば、求心力も高まるとの期待がある」(同)

 独立ラッシュの裏にあった、業界が直面する大きな「曲がり角」。芸能事務所も“大サバイバル時代”に突入か。

デイリー新潮編集部

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