友達に彫刻刀を突きつけた小3女児が、逆に「いじめられた」と訴え 不登校29万人超の背景に「問題を認められない」親子
彫刻刀を突きつけた女子児童
【小学校3年生女子児童の事例】
休日に友達を招いて自宅で遊んでいたが、ちょっとした出来事からケンカになり、友達に彫刻刀を突きつける。
休み明け、彫刻刀を突きつけられた児童の親から学校に連絡があり、学校は家庭に連絡するが、女児もその親も大きな問題だとは思っておらず、謝罪もしないままこの出来事はうやむやになる。だが、この出来事があって以来、友達は本人と距離を取るようになり(無視などではないが、以前ほど親密に過ごさず、休日も遊ばなくなった)、そのことをもって本人は「いじめ」と認識し、登校しづらい日が出てきている。学校側が、当該出来事について話し合い、締めくくることの大切さを伝えるが、親も本人も「自分(子ども)は悪くない」と耳を傾けようとせず、状況が長引いてしまっている。
この事例において、周囲が彫刻刀を突きつけた女子児童から遠ざかるのは「当たり前」と言ってよいですし、その状況を作ったのは女子児童本人です。親には、こうした女子児童の行いに対して、きちんと問題意識を持って「心配だ」「良くないことだよ」などと伝え、女子児童が友達に謝罪できるよう働きかけることが求められます。学校側が伝えているように、きちんとこの問題を「締めくくる」ことができれば、その後の友達との関係も、以前とまったく同じとはいかないまでも、多少の改善は見られたことでしょう。
いじめ調査によって孤立するリスクも
しかし、実際には親子共に「問題を認めない」というスタンスを堅持し、その結果、周囲が遠ざかって、学校が過ごしにくい場になるという悪循環を生んでしまっています。また、この状況で「いじめがあるから学校に行けない」というのは、自分の問題から目を逸らしているように思われても仕方ありません。
ですが、いじめ防止対策推進法でいじめと思しき事案には調査が義務付けられており、また、学校もいじめに対して敏感に対応するようになってきているため、「いじめられた」という訴えがあれば、学校は必ず調査を行うことになります。ただ、こういう事例においていじめの調査を行えば、周囲が更に遠ざかるというリスクがあるので難しいところです。
最近の学校では、このように「自分の問題を認められない」というあり様や、ときには「向こうが悪い」という外罰的な姿勢を見せることで、学校生活にうまく適応できない例が多くなっています。本稿では、不登校を主な題材としてこうした傾向を示していますが、これは不登校に限るものではなく、多くの学校不適応の要因になっているものでもあります。
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