ライドシェア開始にタクシー運転手から「事故が増える」の声 健康管理でもリスクが
リモートでのチェック
しかし、である。
冒頭のように、現場のドライバーに聞くと「一種免」運転手への不安は根強い。
別の都内勤務・大手会社のドライバーも言う。
「都内で仕事をしている運転手には、これまで地理試験が課せられてきたんです。主要幹線道路や主要施設などを地図上で示すものですが、ライドシェアの人たちはそれ、受けてないでしょう。いくらナビがあるからったって、例えば青梅街道を知らなかったらお客さん怒るんじゃないですか」
こんな恐れもささやかれる。
「ライドシェアの車は自家用車ですから、タクシー会社は乗車時間以外、管理ができない。ライドシェアをきっかけに、会社を通さずにお客と直接やり取りして営業する『白タク行為』の事例が増えてしまうかもしれません」(個人タクシーのドライバー)
乗務員が加盟する、全国自動車交通労働組合連合会の担当者は言う。
「懸念しているのは、健康管理の点です。ライドシェアの場合、リモートでアルコールチェックをしますが、それでは、健康状態や疲労度までは伝わらない。また、自家用車の安全性も気にかかります。タクシー事業者の車であれば、厳しい基準で管理されていますが、それに比べてどこまで点検が行き届くのか」
「ドライバーの9割が反対」
限定解禁の成り行きを見て6月には、全面解禁、つまり地域や時間を限らず、また、タクシー会社以外の会社も参入させるか否かを決めることになる。
そうなれば大転換だが、作家・志茂田景樹氏の息子で、武蔵野市会議員の傍ら、タクシーのハンドルも握る下田大気(ひろき)氏によれば、
「これにはドライバーの9割が反対していると思いますよ。コロナ禍が明け、タクシー料金も値上がりし、離職したドライバーが続々戻ってきている現状もある。全面解禁するかどうかは、相当慎重に判断すべし、というのが現場の実感です」
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