人はなぜ霊感商法に引っかかるのか? 「現代の魔女」が語る「オカルトとの付き合い方」
騙される経験を繰り返す人は多い
――魔女の修行はどのように始められたのですか。
80年代前半、魔術や魔女術に関する著作で有名な英国の作家に紹介され、東アジアを中心に活動する魔術団体に参加しました。そこの構成メンバーの大半は、ヨーロッパから現地の大学に招聘されてきた大学教授たち。皆さん知的でしたから教える内容も理論的で、非常にアカデミックな環境で修行の一歩を踏み出せました。その後も海外の団体と交流したり、関連書を原書で読んだりしながら、実際の修行を続けています。
――様々な修行があるそうですが、魔術に理解があるパートナーとご結婚もされるなど、現在の日常生活は意外と普通だそうですね。
単純に言うなら、あまり不自然なことをしない生活ですね。日が落ちた頃に食事をして、早めに寝て、太陽が出た頃に起きる。地元で生産されたものを食べる。あとは地球にあまり迷惑をかけないように、ガソリンを無駄に使わないといった感じです。
――オカルト関連の著作家や占い師としても日本のオカルト界を長く見ています。そこで気づくことはありますか?
今の日本でオカルトに惹かれる人には、一発逆転を狙うというか、社会の閉塞感から逃げているような部分があると思います。パワースポットに行っても何も変わらないからと、魔術の世界に来る人もいますが、そこで修行法などを紹介すると、これを数年やらなきゃいけないのかとまたパワースポット巡りに戻る。あるいは高額のグッズを購入するなど、いろいろなものに飛びついては騙される経験を繰り返す人はとても多いです。
大きく騙されてしまう人の傾向
――不安が多い今の時代、オカルトやスピリチュアルを名乗る怪しいモノに騙される人が増えているように見えます。
増えたのではなく、SNSなどで可視化されてきたのだと感じます。「できれば簡単に一発逆転」という心の弱い部分はどの年代にもありますから。ただ、騙し騙される様子を何十年も見ていると、騙されてしまう側には一定の傾向があるように思えます。頑張って真面目に生きているのに人間関係や仕事に恵まれない、といった境遇にある人たちです。「それは社会が悪い」と言ってくれるところに引き寄せられてしまった人は多いですね。
――そうした怪しいモノを見分ける方法はありますか。
たとえば“お告げ”の場合、一般的なイメージは「神からのお告げが!」と突然言い出す人たちですよね。でも実際は、訓練や修行を経て発揮される能力です。そういう血筋の方も多い。私の周りにも幼い頃から修行を始めて何十年も続けながら、一定の術式に則って“お告げ”を受け取っている人もいます。また日本でも海外でも、そうした人たちは『神』と『自然』をきっちり分ける傾向があまりないんですよ。
また、生涯未婚だったり金銭の富は持っていなかったり、みなさんそれなりの代価を支払っています。人間が持てるエネルギーの量は誰でもあまり変わらないので、エネルギーを大きく受け取って能力を発揮するなら、家族や私財は持てなくなるわけです。私自身は“お告げ”で大金を得ている人を見ると「ふぅん」と思いますね。
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