人はなぜ霊感商法に引っかかるのか? 「現代の魔女」が語る「オカルトとの付き合い方」

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 2月に出版された『ガチ魔女って普段何しているんですか?』(二見書房)は、魔女・魔術師・占い師・神秘家の肩書きを持つ日本人女性、ヘイズ中村さんによる「魔女」の解説書だ。「オカルト」のジャンルに属する本だが、語られている「現代の魔女」は大きな鍋で怪しい薬を作ることも、不思議な杖を振って願いを叶えることもない。むしろ、魔女に向いているのは「疑り深い現実主義者」だと説く。

 ヘイズさんは現在、本の出版や講座などを通じてオカルトの世界を解説している。怪しいモノに騙されないためにも、まずオカルトの正しい知識を身につけるべきという意識が強い。日本のオカルト界で騙す側と騙される側を長く間近で見てきたヘイズさんに、「日本人とオカルト」について話を聞いた。

魔女は「不思議大好き」な人たちではない

――まず「現代の魔女」とはどんな人たちなのですか?

 現代の魔女の定義や歴史には諸説ありますが、共通しているのは、目に見えない世界を信じ、地球や自然と一体化したライフスタイルを提唱する“生き方”です。近年のスピリチュアルブームで増えている「不思議大好き」な人たちではないんですよ。

――「不思議なこと」を積極的に信じるタイプではないと。

 私自身はほとんど信じません。でも、世の中には「不思議なこと」がたくさんありますよね。それらの皮を剥がした結果、99%がオカルトでなかったとしても、どうしても解明できない何かが1%は残る。それを見極め、自分や周囲のために生かしたいと考える人は魔女に向いています。

――そうした魔女が使う魔術とはどんなものなのですか?

 現在の西洋儀式魔術は「近代西洋復興魔術」などと呼ばれ、そこから枝分かれしたのが「魔女術」です。儀式魔術は精神修養的な側面が強いのですが、魔女術は平たく言うと、願いが実現するように自分の心と体を動かして、環境や自分自身を変えることが特徴。その過程を効率良く進めるために、行動を起こす際に月の満ち欠けを確認したり、エネルギーをうまく回したりと、「目に見えないもの」の仕組みや力を使います。

――たとえば「エネルギーを回す」という魔術はどんな内容ですか?

 細かいコツや方法を省いて説明すると、具体的な行為は、願望の成就に必要な現実の作業の途中で成就までを一度イメージすることです。願望が“本の出版”なら、資料集めの途中で「次は構成を考えて、その次は原稿を書いて……」とイメージします。こうして1日1回エネルギーを回し続けると、渦が起こって周囲を巻き込めるようになる。さらにそこで大きく行動すると、渦がまた大きくなって、成就に向かう波も大きくなり、成就しやすくなるわけです。ただし、実際の行動という努力なしでは成立しません。

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