易者の祖母が手相を見ていつも口にした「4文字熟語」 看護師兼作家・前川ほまれが明かす変わった思い出とは
脳裏で繰り返す「あの四文字」
東京に住むようになってから、街中で易者の姿を見かけることが多くなった。新宿の高架下、池袋の繁華街、上野アメ横商店街の片隅。彼らは「運命」や「姓名」や「手相」の文字が書かれた灯籠を灯し、客が訪れるのを静かに待っている。路上の易者が目に映る度に、私の歩調は緩んでしまう。見知らぬ易者に祖母の面影を重ねながらも、今まで客として占ってもらったことはない。幼い頃に飽きるほど、手相を鑑定してもらったせいだろうか。
易者を素通りして、私は東京の人混みに紛れていく。痒くもない目を擦って、脳裏であの四文字熟語を繰り返しながら。
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