横尾忠則のアトリエは「記憶の倉庫」 創作の霊感の源泉に

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 アトリエについて何かいかがですか? と編集者からの要請がありました。このアトリエが出来たのは画家に転向して2年目位かな。それまでは絵を描く場所がなくて近所のお屋敷の一室を借りたり、美術館のロビーや、テレビ局の物置場だったり、ボクシングジムの一角を借りたり、また公開制作という名目で美術館のイベントに組み込まれたりしながら、まるで放浪の画家のように、描く場所を求めて彷徨(ほうこう)している時期がありました。

 今もそうですが、僕の絵の主題や様式が固定しないのも、多分、居が定まらず、声が掛かればどこへでも出掛けていたあの時代と大いに関係があるのではと思います。...

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