坂本龍一は「そのままの音をそのまま出す」ことを目指した 音響監修を担当した“新宿の映画館”に遺したもの

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坂本龍一が求めた音

――上映前に流れる坂本さんのメッセージ動画では、この映画館の音が「曇りのない正確な音」と表現されています。具体的にはどういった音と言えるのでしょうか。

 映画館の音響をアピールする際、迫力ある重低音を強調する傾向があります。 坂本さんにご協力いただくにおいては、映画制作者の方々が意図した『そのままの音をそのまま出す』ことに取り組みました。音響にかける予算や音の作りは作品によって異なりますが、当館が手を加えることはありません。仮に一般的な映画館では聞こえないようなノイズが聞こえた場合、それを必ずしも悪いこととして捉えないことも当館の方針と言えます。

――実際に鑑賞すると、クリアな音がしっかりとスクリーンから出ている印象を受けます。

 サラウンドシステムを導入していますので、もちろんスピーカーは横と後方にもついています。ただし、サラウンドスピーカーについても存在感を主張しすぎず、良いバランスでしっかり聞いていただける環境を目指しました。

後編【坂本龍一はなぜ「35mmフィルム上映」を熱望したのか 音響監修を務めた“新宿の映画館”がこだわること】へつづく

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