中学生に性的暴行したクルド人は難民申請中だった 地元市議は「実態を正しく直視するべき」

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クルド人増加の背景事情

 クルド人とは、中東のトルコやイラン、イラク、シリアなどの国境地帯に住む「国を持たない民族」。川口は彼らが集住する地域として知られ、現在、2000人以上が暮らしている。

「彼らは難民申請をしているケースが少なくない」

 と言うのは、入管のさる関係者だ。

「トルコと日本は現在、短期滞在ならビザは必要ではありません。で、ノービザで入国し、滞在期限が切れるまでの間に難民申請を行うんです。すると、その審査期間中は強制送還が止められる。川口に来るクルド人の多くは、ある特定の地域の出身です。こうした仕組みで入った人たちが地元の親類縁者を呼びよせ、数が増えていったんです」

 今回の事件を起こしたアッバスも、先に日本に来た父を頼って幼少期に来日し、難民申請をした“移民2世”だという。

「実際、彼らが難民認定されることはほとんどありません。クルド人が母国で差別されているのは事実でしょう。が、難民条約が規定するように、自由が奪われたり、生活が著しく損なわれ、生命の危機が生じているかといえば、そこまでとは認められないことが多い。申請期間中に日本で稼いで帰国するか、あるいは子どもが小中学校に長期間通うなどすれば、在留特別許可をもらえるかもしれない。クルド人増加にはこうした背景事情があります」

 しかし、そうした入国経緯の者の中から凶悪犯が出れば、住民との摩擦が生じるのは当然のことだろう。

グレる2世

 この地域で長年、クルド人支援に携わってきた「在日クルド人と共に」理事の松澤秀延氏は、

「彼らも日本の社会に順応したいと思っていますが、日本側の拒否反応が強く、そこで絶望を感じてしまうことも多い」

 と分析するが、

「今回の事件もそうですが、2世の中には学校に行かず、いわゆる“グレて”しまうケースも少なくない。この問題を指摘するとすぐ差別と言われますが、まずは実態を正しく直視することが重要だと思います」(奥富市議)

 多様性尊重――そんな建前だけでは語れない現実が、この川口には横たわっているのである。

週刊新潮 2024年4月4日号掲載

ワイド特集「三寒四温」より

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