センバツ、「低反発バット」で本塁打は3本に激減…高校野球は「スモール・ベースボール」が再び重要視される時代に
タイムリーなしで4得点
投手の一ノ瀬は「あの当たりでホームに突っ込んでくるっていうのは、少しビックリしました」と試合後に振り返っている。それで慌てた、とは簡単に言いたくはないが、一ノ瀬の本塁送球が間に合わず、野選となって健大高崎は先制点を奪っている。
さらに、その明豊戦での2点目は中犠飛。6回の3点目も、1死三塁で明豊は内野が前進守備を敷いたのだが、二ゴロで三走・佐々木貫汰が果敢に本塁へ突っ込んでセーフ。7回の4点目も明豊の失策絡みと、4得点でタイムリーは一本もなかった。
明豊の捕手・石田智能は「打ち損じた打球が強く行かないので、その中でランナーも進んでいきやすいので、そこは点が入りやすくなったのかなと思いますし、それはこの試合ですごく感じました。相手も足があったので、意識はしていたんですけど、うまく対応できなかったのかな、というのはあります」と、低反発バットでの戦いをこう総括している。
「飛ばないバット」の時代
健大高崎は、決勝戦を含めた大会5試合で本塁打0。41安打のうち、二塁打が5本、三塁打3本と、長打も8本止まり。センバツで金属バットが導入された1975年以降、長打数が一ケタで優勝したのは、今回を含めて8チーム目だ。
準優勝の報徳学園も、2回戦の常総学院(茨城)を相手に12安打、6得点を挙げたが、そのヒット12本はすべて単打。1回戦の愛工大名電(愛知)戦も11安打のうち、10本が単打だった。
さらに決勝戦でも、1点を追っての9回2死一塁から代走の西川成久が二盗を成功。アウトになれば、その時点で試合終了となるため、セオリー上では“無謀”ともいえるプレーだが、長打や連打の可能性が低いと判断できるのなら、得点圏に走者を進めるために、今大会5試合でチーム10盗塁の機動力を生かした、この場面での“ベストチョイス”といえるかもしれない。
攻撃では機動力、バントなどの小技を絡め、守りを固めて無駄な失点を防ぐ。飛ばないバットゆえの「スモール・ベースボール」が、高校野球界で再び見直され、重要視される時代が来たのかもしれない。
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