日本競泳史上最年長! 33歳で五輪出場の鈴木聡美 「競泳界の“常識”を覆した」

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 鈴木聡美という名前に聞き覚えのある方は多いだろう。ただ、久しぶりに聞く名前かもしれない。

 2012年、21歳の若さでロンドン五輪に出場した鈴木は平泳ぎの200メートルで銀、100メートルで銅、400メートルメドレーリレーで銅、と三つのメダルを獲得した。16年リオ五輪も、メダルにこそ届かなかったが連続出場を果たしている。

 だが、30歳で迎えた東京五輪代表選考会では、渡部香生子(27)ら後輩の後塵を拝し、代表の座を譲った。

「次の五輪は3年後。成績は下り坂で、三十路を超えた自身の年齢を考えると、心が折れて当然だと思うのですが、彼女は違いました」

 と全国紙記者が瞠目する。

日本競泳史上最年長

 今夏開催されるパリ五輪の代表選考会が先頃行われ、鈴木は見事パリ行き切符を手にしたのだ。33歳での五輪出場は日本競泳史上最年長である。100メートルでは自己ベスト記録を更新。渡部や新鋭の今井月(るな・23)ら世界で戦う後輩らを抑えての堂々たる復活だった。

「しかも200メートルも優勝して代表入り。100メートルは瞬発力、200メートルは持久力が必要。全く別物といってもいい両種目を狙うこと自体が困難な挑戦ですよ」

 長年プレーを続けるアスリートといえば、スキージャンプの葛西紀明(51)やベテランプロゴルファーたちが頭に浮かぶ。むろん彼らもスゴいが、道具の進化がプレーを助け、技術や経験がモノを言う競技でもある。

“常識”を覆した

 競泳は違う。

 文字通り”裸一貫”で体力だけが頼りだ。加齢のハンデもまともに食らう。

「しかも女性はピークが早いですからね。14歳で五輪金メダルを獲得した岩崎恭子しかり、18歳でアジア大会MVPに輝いた池江璃花子しかり。この世界は常に若い世代が競技を引っ張ってきた。でも、鈴木はそんな”常識”を覆したのです」

 後輩思いで知られる鈴木は、今レース後のインタビューでも、2位で代表入りした後輩が「自己ベストを出したかった」と下を向くと、「これから上げればいいんだよ」と笑顔で激励。一方で、5大会連続出場を逃した1年上の先輩、入江陵介(34)にも「刺激をもらった」と思いやった。

 きっと今回の鈴木から”刺激をもらった”アスリートも大勢いるに違いない。

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