4年ぶり開幕“勝ち越し発進”も…新庄「日本ハム」が抱える先発ローテーションの問題
4年ぶりの勝ち越しスタート!
今年のプロ野球ペナントレースが開幕した。2年連続最下位からの脱出を狙う北海道日本ハムファイターズの新庄剛志監督(52)が開幕マウンドに送り出したのは、伊藤大海(26)だった。期待に応え、伊藤は9三振を奪う好投で、新庄監督にとっては初となる「開幕白星」となった。翌30日の第2戦では左腕・加藤貴之(31)が先発したが、惜敗。しかし31日の試合では9回に逆転して勝利。開幕カード2勝1敗で勝ち越しは、4年ぶりだ。
【写真】今年の“新庄劇場”は何かが違う(北海道日本ハムファイターズの公式instagramより)
「今年の日本ハムは粘り強い」と感じたファンも少なくないだろう。
「開幕の前日(3月28日)に発表された一軍メンバーを見ると、昨年から大幅に選手が入れ替わっていました。開幕戦に出場登録されたピッチャーは10人。うち、7人のリリーバーが、昨年の開幕メンバーには入っていませんでした。内野手も同様です。登録された7人の内野手のうち、去年も登録されていたのは野村佑希(23)と石井一成(29)だけ。いつの間にか、新しいチームに生まれ変わっていました」(地元メディア関係者)
昨年オフ、国内フリーエージェント市場の最大の目玉だった山崎福也(31)を獲得し、投手力が大きくアップした。その層の厚くなった投手陣に対し、新庄監督が導き出したチーム浮上策は、「5人制の先発ローテーション」。通常の6人制にするのは5月に入ってからだという。それまでの間、6連戦がないためだ。
「6連戦が組まれているのは、5月21日からです。6人目の先発投手が誰になるのか、それまでは熟考の期間ともなりそうです」(前出・同)
伊藤、加藤、山崎、そして、第3戦で先発した上原健太(30)は確定だ。5人目は北山亘基(24)が務めるが、即決ではなかった。
「キャンプインした当初、先発枠6人は、伊藤、加藤、山崎以外は『競争』とされていました。競争と言うと聞こえは良いですが、4人目以降の先発候補と、伊藤たち3人の力量差は明白でした。そんななか、上原が与四球率の高い欠点を克服し、オープン戦でも結果を出してくれたのは、救いでした」(チーム関係者)
5人目は当初、新加入のマーフィー(28 )だと思われていた。昨季はツインズ傘下の3Aチームでリリーフとして42試合 に登板しており、日本ハムでも中継ぎでの起用となると思われた。新庄監督も、当初は先発での起用構想も明かしていた。だが、マーフィーの先発投手としての資質に関して言えば、3月3日のオープン戦で対戦した阪神・岡田彰布監督(66)のコメントが興味深い。
「こんな変わるんか?」
試合後にそう言って、首を傾げていた。どういう意味かというと、マーフィーは3回まで阪神打線をパーフェクトに封じ込めていたが、4回のマウンドで豹変してしまったのだ。球速は目に見えて落ち、変化球もキレを失い、そのイニングは打者7人と対戦し、被安打4、失点4。先発投手としては明らかなスタミナ不足だった。
新庄監督も「やっぱり、こうなっちゃうのかなあ」とため息をついていたが、その口ぶりからして、マーフィーが先発に向かないことはキャンプ、練習試合などで察していたのかもしれない。
固まらない先発ローテーション
「新庄監督も伊藤、加藤、山崎に続く4人目以降の先発候補に不安があったのでしょう。だから、マイナーで先発の経験もあるマーフィーをテストしてみたんです。バーヘイゲン(33)も先発でテストしていますが、こちらは球団の意向だったと言われています」(スポーツ紙記者)
今季、日本ハムは4投手3野手の外国人選手を支配下登録している。新加入はマーフィーとザバラ(27)の2投手で、野手は外野手のスティーブンソン(29 )とDHのレイエス(28)。バーヘイゲンは20、21年にチームに在籍していたが、22年からの2年間はメジャーリーグ・カージナルスに移っていた。昨季はセットアッパーとして60試合に登板するタフネスぶりも発揮し、今季は推定年俸3億5000万円で契約した。スティーブンソンやレイエスたちよりも3倍近い金額だ。
「3月10日の東北楽天とのオープン戦に先発登板しました。しかし、3イニングで80球も要しており、5失点と大乱調でした」(前出・同)
新庄監督はスタミナ切れでマーフィーが炎上した後、リリーフ専念を表明した。同じく、バーヘイゲンの先発での適正を見極めようとしていたのだが、こちらもやはり、結果を出せなかった。その後、上原が欠点の「与四球率の高さ」を克服し、先発4番手に浮上してきたのは救いだったが、5番手はなかなか決まらなかった。
「結局、北山が選ばれましたが、消去法で残ったというのが正直なところです」(前出・同)
開幕カードの登録メンバーが大きく入れ替わり、チームは大きく変貌したが、先発ローテーションの4番手以降は未知数だ。指揮官からすれば、不安を抱えてのシーズン投入でもあったわけだ。こうした内情を聞くと、通常の6人制となるまでの約1ヵ月半は人選の再考をしつつ、投手たちの奮起を待つしかあるまい。
「大方の予想では高卒4年目の左腕・根本悠楓(21)が6番手と言われています。昨秋は若手主体とはいえ、侍ジャパンにも選ばれています」(前出・関係者)
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